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2012年9月経常収支、31年半ぶり赤字

2012年9月経常収支、31年半ぶり赤字

概要

財務省が2012年11月8日に発表した9月の経常収支は1420億円の赤字となり、季節要因を除いたベースで31年半ぶりの経常赤字となりました。これは、第2次石油ショックの影響で輸入額が拡大した1981年3月以来のことです。

現行統計開始以来初の赤字に転落した最大の要因は、貿易赤字が拡大したことです。もちろん、9月は、中間期末を控えて輸出を増加させる傾向が強く、季節変動要因を調整した影響とも考えられますが、「原数値」と呼ばれる季節調整前も、貿易収支は、3カ月連続で赤字となっており、単なる季節調整で一時的に赤字になったとは言えないと思われます。
世界的な景気減速の中で、日本の輸出が苦戦を強いられております。

年度別の貿易収支と経常収支

コメント

今年2012年の1月に、日本の2011年の「貿易収支」が31年ぶりに赤字になったとの報道に続き、2012年11月には、2012年9月の「経常収支」が赤字になってしまったとの報道がありました。

「貿易収支」とは、輸出額と輸入額の差額で、貿易赤字ということは、それだけ海外に資金が流出することを意味します。赤字の原因は、原発停止によるLNGの輸入増加、そして、円高による輸出の減少が主な要因と考えられます。

そして、この貿易収支に、「サービス収支」(旅行などサービス取引の差額)、「経常移転収支」(途上国への資金援助など)に「所得収支」(海外との利子や配当の受け払い)を調整したものが「経常収支」です。とくに、「経常収支」には、「貿易収支」と「所得収支」が大きな影響を与えます。企業会計でいうと、「貿易収支+サービス収支」は営業利益に相当し、「経常収支」は、財務損益も含んだ、経常利益に相当します。

上記の表のように、日本の経常収支は、2009年度で16.3兆円の黒字、2010年度で16.6兆円の黒字です。そのうち、貿易収支は約5兆円の黒字で、所得収支によって、約10兆円黒字を稼ぎだしております。経常赤字であることは、海外との利子や配当の受け払いを含んでの赤字ということから、貿易赤字以上に深刻なのです。

経常赤字になると、輸入代金の支払いによって、海外にお金が出ていくことになり、国内での貯蓄の取り崩し、海外からの借り入れに依存状態となり、貯蓄をしている家計や企業の資金が金融機関を通じて、国債を買い支えることが厳しくなります。さらに、国債のさらなる増発が必要となり、国債の信認の低下を招く危険があります。

日本の国債が今のところ安定している要因は、国債の9割以上が国内で消化されているからですが、経常赤字が続くと、イタリア、スペインのように国債が暴落するリスクがあります。年末に政権が交代し、円安基調となり、貿易収支が黒字化するとの予測もある一方で、経常赤字が今後どのように推移するか、目が離せません。

日本の総人口、過去最大の25万9千人減、1億2779万人に

日本の総人口、過去最大の25万9千人減、1億2779万人に

概要

総務省は2012年4月17日に、2011年10月1日時点の日本の推計人口を発表しました。
総務省によると、総人口は1億2779万9千人となり,前年に比べ25万9千人(0.20%)と大きく減少しており、減少数は1950年以降の統計で最大です。

そして、65歳以上の老年人口割合は過去最高の23.3%に達しました。

人口減少率は福島県が1.93%で過去最高。今回の人口の急激な落ち込みは、出生率の低下と高齢化というこれまでの傾向に加え、震災と原発事故による日本からの人口流出が重なったことが主因のようです。

日本は2005年に戦後初めて人口が減少。少子高齢化で2007年以降は出生児より死亡者が多い自然減が定着しました。また、2013年の成人式を迎える世代(122万人)、2012年の生まれた数(103万人)と、本格的な「人口減少社会」を迎えたといえます。

コメント

ドラッカーが、「すべての外的変化のなかで、人口にかかわる変化ほど明らかなものはない。」「人口動態ほど確実にやってくる未来はない」と指摘したように、不確実な未来を予測する上で、人口構造の変化を知ることは、未来を知る確実な手掛かりとなり、重要です。2000年前は3億人程度だった世界の人口は、2011年10月31日に70億人を突破しました。ただ、世界の人口の増加率は、1965年~70年の年2%をピークに低下しています。そのような中で、日本は人口減少向かっております。

人口減少は、個人消費や設備投資などの需要、そして労働投入量という供給面の減少により経済力の低下を招きます。また、長寿を支えてきた年金、医療、介護といった社会保障制度を維持している現役世代の負担は重くなります。その結果、財政は悪化します。

人口の減少や流出を食い止めるため、政府は一層の少子化対策や経済成長戦略、そして、社会保障費に関しても、破たん回避のための対応が迫られます。

根本的な問題は構造的な少子高齢化、そして、働き場所、投資先としての日本の魅力の低下ともいえます。

税制、海外への人材流出の回避、女性に対する再就職や育児の支援策の強化、技能の高い外国人労働者の雇用、大学の秋入学検討など、政府としては、国としての日本の魅力を高めるための長期的視点を持った幅広い成長戦略の対応策が必要です。

その一方で、企業経営者にとっては、ドラッカーが言うように、人口の変化は信頼性の高いイノベーションの機会となります。5年、10年先の数字を見て、どのような機会が見えてくるか、現場に行き、見て、聞いて、戦略を立てる必要があります。

日本航空(JAL)の再上場

日本航空(JAL)の再上場

概要

日本航空(JAL)は2012年9月19日、2年7カ月ぶりに東京証券取引所第1部に再上場しました。会社更生法の適用にはじまり、2012年3月期は過去最高の連結営業利益を稼ぐなど、日航は世界でも突出した収益力を誇る航空会社に生まれ変わりました。

世界の航空市場が大幅に落ち込む中、特にJALの利益は海外の同業他社と比較しても高水準となっています。その背景には、成長分野と位置付ける好採算の国際ビジネス旅客を拡大したこと、国内線についても震災前の水準にまで戻したこと、そして、路線別収支管理の徹底などの堅実なコスト運営も寄与したといえます。

コメント

2011年3月、再建初年度は、1800億円を超える営業利益。そして、震災後の2012年3月、東日本大震災による大幅な旅客数減少があったにも関わらず、再建初年度を超え、2000億円以上もの営業利益を出すことに成功したJAL。

どうして、倒産した会社が、わずか1年で、業界ナンバーワンの高収益企業に生まれ変わることができたのでしょうか?

そのV字回復の柱として以下の4点が挙げられます。

1 国内外の不採算路線の廃止
2 燃費効率の悪い「ジャンボ」全40機の退役
3 3割となる1万6000人員削減と賃金カット
4 金融機関による債権放棄

しかし、稲盛和夫氏の発言にあるように、JAL再生の真の要因は、次の2つにあるように思われます。一つは、フィロソフィーの導入による意識改革。そして、もう一つは、アメーバ経営による管理会計手法導入による見える化。これにより、路線別また路便別に、採算がわかるようになり、組織改革が起こりました。

誰もが不可能ではないかと思っている中で、わずか2年7か月でのJALのスピード再上場。
そのベースには、まさに、稲盛哲学の根幹である「人生・仕事の結果=考え方×熱意×能力」、「誰にも負けない努力をする」など、稲盛氏が長年築き上げてきた「経営の原点12ヵ条」にあると思われます。

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株式会社オーナーズブレイン
代表取締役 公認会計士 税理士
小泉 大輔

朝日監査法人(現あずさ監査法人)、新日本監査法人を経て現職。 株式公開支援、M&A、企業価値算定をはじめ、会計・財務のコンサルティングを主たる業とするほか、数多くのセミナー・講演活動を行っている。

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