経営者の「知りたい」を解決するプロフェッショナルによるウェブメディア

BRO SPECIAL プロフェッショナルが選ぶ2012年3大ニュース VCのプロが選んだ3大ニュース 伊藤忠テクノロジーベンチャーズ株式会社 代表取締役社長 安達 俊久

ベンチャー業界 グローバル化元年

ベンチャー業界 グローバル化元年

概要

ITバブル崩壊から12年、ライブドア事件から6年、低迷が続くベンチャー業界に満を持したように新しい起業家群が出現してきた記念すべき年となった。東証一部上場最年少記録を更新した、リブセンスの村上社長に代表される、デジタルネイティブ世代(1985年前後生まれ)が本格的に台頭してきたと言える。
彼らの特筆に価する考え方は、起業初日からグローバル市場で勝負することを目指しており、国内予選を勝ち抜くことが目標ではない。今後輩出が期待される世界に通用する日本発メガ・ベンチャーの誕生を大いに期待したい。

コメント

ベンチャー業界のグローバル化が一気に進んでいる。日本ベンチャーキャピタル協会(以下「JVCA」)では、クロスボーダー・プロジェクトの推進を図るため、去る2012年10月10日に東京において、第1回アジアVC&PE協議会を議長国として主催した。
本会議では、アジア8か国の投資協会幹部を一堂に会して、域内経済の更なる活性化・発展を旗印に活発な議論を交わした。ベンチャー業界においても、日本空洞化が懸念される環境下、資金調達からEXITまでをクロスボーダーに推進し、アジアの新たなエクセレントカンパニー、メガ・ベンチャーの誕生を期待したい。
尚、8か国とは、日本、韓国、中国、台湾、香港、シンガポール、インド及びオーストラリアである。本協議会は来年以降も継続し(2013年議長国は韓国)、アジア域内での投資事業のプラットフォームとしてその機能を発揮していく所存である。

アクセラレーターVC百花繚乱

アクセラレーターVC百花繚乱

概要

ここ数年続いていたシードラウンドに特化したベンチャーキャピタルの創業支援型の少額投資が一気に活況を呈してきた。業界では彼らをアクセラレーターと呼んでいるが、デジタルネイティブ世代の起業家熱の高まりと相俟って、その存在感が一段と高まってきた。
クラウド環境では、起業コストを従来と較べて非常に低く抑えることができる、いわゆるLean Startupが、デジタルネイティブ世代の起業意欲を一気に盛り上がってきたと言える。

コメント

先にも述べたが、2012年IPOしたベンチャーで象徴的な案件となったリブセンスは、創業社長が東証一部上場の最年少記録を26歳で更新したことで話題をさらった。村上社長の成功事例が、今後数多くのベンチャー起業家にポジティブな影響と前向きな動機付けを与えたことは間違いない。この流れを絶やさず、来年以降も実力を伴った起業家が輩出することに期待したい。数多の有為な起業家を支援し続けることが、成長の止まった日本経済のカンフル剤となり、新産業創出のフロンティアの役割を果たすことを期待したい。

米国JOBS Act法制化 新興企業の成長を促す規制緩和
日本市場でも同様な施策導入へ

米国JOBS Act法制化 新興企業の成長を促す規制緩和 日本市場でも同様な施策導入へ

概要

2012年4月5日、オバマ大統領はJOBS Act (Jumpstart Our Business Startups,以下「JOBS法」) に署名し、即日施行された。本法律は、新興企業(年間売上10億ドル未満) に対して、株式公開後も最長5年間、SOX法の適用を免除する画期的なものである。
2002年のエンロン事件に端を発して2004年に法制化されたSOX法は、企業の規律を高めるために一定の役割を果たしてきたが、ベンチャー・中小企業にとっては敷居が高く、2008年のリーマンショックなども相俟ってIPO市場の極度の不振を招いた。新興企業が果たす、新産業・新規雇用創出のカンフル剤となることを期待する。

コメント

米国JOBS法は、業界関係者のタスクフォースにて1年足らずで結論を得た画期的な法制度である。米国市場では、引き続き高水準なM&Aが起こっているものの、M&Aは直接新規雇用を生んではいなかった。そこでIPOの増加を促すことによって新規雇用に繋げる狙いを明確にした。
JVCAでもあらゆる機会を通じて、霞が関にJ-SOX法(2007年施行の金商法)の緩和を求めてきた。その結果、2012年11月30日に開かれた閣議において、「米国JOBS法を踏まえて市場の合理化を図ること」が決議された。JVCAの地道な活動が霞が関を動かしたことは、空前絶後の成果と言える。
今後、法改正には一定の時間を要するものの、閣議決定された事実は重く、2013年の通常国会への上程・審議に期待したい。
ベンチャー業界が、停滞する日本経済を変革させる触媒の役割を果たし、新規産業創出の先兵となって日本を変えることが望まれる。

このコラムは役に立ちましたか?

読み込み中 ... 読み込み中 ...
伊藤忠テクノロジーベンチャーズ株式会社
代表取締役社長
安達 俊久

東京工業大学 電気工学科卒、伊藤忠商事株式会社に入社。情報産業部門において、米国先端ITの商権獲得と提携関係構築に従事し、米国シリコンバレーとの幅広い人脈を構築。
2002年5月より伊藤忠テクノロジーベンチャーズ株式会社 代表取締役社長。2008年7月日本ベンチャーキャピタル協会理事、2011年7月同協会会長就任。
2010年4月より、法制審議会会社法制部会委員。

このエントリーをはてなブックマークに追加

コラムをもっと読む

  • PREV
  • NEXT