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新規株式公開(IPO)の増加-IT企業のトレンド-

新規株式公開(IPO)の増加-IT企業のトレンド-

概要

今年の新規株式公開(IPO)企業数が46社になりました。ここ10年間で最も少なかった2009年が19社で、その後、2010年が22社、2011年が36社ですので、徐々に数が増加しています。
そして、今年上場した会社のうち、約3分の1がIT企業です。
また、東証マザーズにIPOしてから1年以内、かつ今年、東証一部に変更上場した会社が、Klab株式会社(以下「Klab」といいます。)、株式会社リブセンス、株式会社アイスタイル(以下「アイスタイル」といいます。)、株式会社エイチーム(以下「エイチーム」といいます。)の4社もあり(アイスタイルとエイチームの2社は、今年、東証マザーズにIPOして、今年、東証一部に変更上場しました。)、いずれもIT企業です。

コメント

1999年に東証マザーズが開設されてから年間IPO企業数が110社を下回ることがありませんでしたが、リーマンショックのあった2008年に110社を大幅に割り込む49社となり、2009年には、最低数の19社となりました。それ以降は、ここ数年増加し続けています。今年はリーマンショックのあった2008年にもう一歩の46社まで増加し、来年はもっと増加することが見込まれます。
そんな中で、IT企業の躍進は著しく、IPO全体の約3分の1を占め、さらに1年以内に東証一部まで上り詰めた会社の全てが、IT企業です。IT企業にとってIPOしてから1年以内に東証一部に変更上場することが1つのトレンドになっているようです。
当事務所でも顧問先3社を含む複数のクライアント企業がIPOを達成しました。来年も引き続き、IPO市場を活性化させるべく業務に邁進する所存です。

ソーシャルゲームに関するコンプガチャ問題と著作権侵害紛争

ソーシャルゲームに関するコンプガチャ問題と著作権侵害紛争

概要

消費者庁は、5月18日、コンプガチャ(オンラインゲーム上で、ユーザーがどの種類のアイテムを購入できるかわからない形で販売し、ユーザーが特定の数種類のアイテムなどをすべて揃えることで、別のアイテム等を新たに入手できる仕組みのこと)問題について、「オンラインゲームの『コンプガチャ』と景品表示法の景品規制について」を公表し、コンプガチャならびに類似サービスは景品表示法に抵触する場合があるとの見解を発表しました。
また、株式会社ディー・エヌ・エーらが製作・配信していたソーシャルゲーム「釣りゲータウン2」について、グリー株式会社(以下「グリー」といいます。)が、自社が製作・配信していたソーシャルゲーム「釣り★スタ」の著作権(翻案権、公衆送信権)及び著作者人格権(同一性保持権)を侵害している等と主張して、ゲームの差止めや損害賠償等を求めた事件(以下「釣りゲーム事件」といいます。)で、知財高裁は、8月8日、グリーの請求を一部認容した東京地裁判決(2月23日)から一転して、グリーの請求を棄却しました。グリーは、即日、最高裁に上告しました。

コメント

消費者庁の見解では、「携帯電話ネットワークやインターネット上で提供されるゲームの中で、ゲームのプレーヤーに対してゲーム中で用いるアイテム等を、偶然性を利用して提供するアイテム等の種類が決まる方法によって有料で提供する場合であって、特定の数種類のアイテム等を全部揃えたプレーヤーに対して、例えばゲーム上で敵と戦うキャラクターや、プレーヤーの分身となるキャラクター(いわゆる「アバター」と呼ばれるもの)が仮想空間上で住む部屋を飾るためのアイテムなど、ゲーム上で使用することができる別のアイテム等を提供するとき」はカード合せの方法によるとされ、コンプガチャは景品表示法に抵触することが明確になりました。ソーシャルゲーム提供会社では、一斉にコンプガチャを廃止しました。
また、釣りゲーム事件については、デジタルコンテンツに関する著作権分野を専門とする当職としては、東京地裁判決について、利益衡量論やバランス感覚としては非常に優れているけど、「創作性」の認定において、違和感を感じていましたが、 知財高裁判決を読んで、やはりアイデアやありふれた表現の範疇に過ぎないものだと納得しました。グリーは、即日、最高裁判所に上告したようです。
他にも多数のソーシャルゲームに関する紛争(訴訟や仮処分等の法的紛争になっているものも数件あります)が勃発しているようですが、いずれも判決に至っておらず、釣りゲーム事件は、今後のリーディングケースとして参考になるでしょう。

ソーシャルゲーム開発会社のM&A

ソーシャルゲーム開発会社のM&A

概要

グリーは、6月15日、ジープラ株式会社の株式を既存株主より取得するとともに第三者割当増資の引受を行い、10月30日、株式会社ポケラボの株式を約138億円で100%取得して子会社化しました。
株式会社ネクソンは、6月28日、インブルーの株式を100%取得して子会社化し、10月1日、株式会社gloopsの株式を365億円で100%取得して子会社化しました。
KLabは、2月、株式会社ドリームラボラトリーの第三者割当増資を引き受けて同社を子会社化、4月、Pikkle株式会社の全株式を総額1億7500万円で取得して子会社化し、8月にはメディアインクルーズ株式会社の株式を100%取得して子会社化しました。

コメント

ソーシャルゲーム開発会社のEXIT戦略として、IPOよりもM&Aが目立った1年でした。株式会社gloopsが売却額365億円、株式会社ポケラボが売却額185億円といった、株式の売却額の高額さにも驚愕させられました。
このようにソーシャルゲーム開発会社にとってEXIT戦略としてM&Aを加速させた理由としては、活性化してきているとはいえ、まだまだIPO市場が全盛期に比べて低迷していること、IPOの準備期間として一定期間必要なこと、それとの対比でゲームの流行廃りのスパンが短いこと、IPOよりも高額の株価になる可能性が高いこと、前述したコンプガチャ問題の影響等が挙げられます。
なお、12月13日に東証マザーズに上場した株式会社コロプラが、初値で445億円もの時価総額がついており、今後のソーシャルゲーム開発会社のEXIT戦略に多大な影響を与えるのではないかと推測しています。
当事務所でもM&A案件を多く取り扱っていますが、今年は案件数が多い年だったと思います。

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フォーサイト総合法律事務所
代表パートナー弁護士
大村 健

取扱分野は、ベンチャー企業法務(IPO関連含む)、IT・ネット・web・エンタメ・バイオ関連法務、会社法、金商法、M&A、知的財産法、独占禁止法・下請法・景表法、労働法、不動産関連等

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