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消費税率の引き上げが決定、益税解消の改正も

消費税率の引き上げが決定、益税解消の改正も

概要

平成24年8月、「社会保障の安定財源の確保等を図る税制の抜本的な改革を行うための消費税法の一部を改正する等の法律」が成立、公布され、消費税率が平成26年4月から8%、平成27年10月から10%に引き上げられることが決定されました。
また、消費税の益税の解消を目的とする改正も順次、適用されています。仕入税額控除制度における95%ルールの改正は平成24年4月から適用され、平成25年以降も、特定期間の課税売上高による課税事業者の判定の導入や一定の大規模法人により設立された法人に係る事業者免税点制度の見直し、簡易課税制度におけるみなし仕入率を将来的に見直すことが決定されています。

コメント

消費税の税率については、今後、2段階で引き上げられることが決定されましたが、改正法では「消費税率の引上げに当たっては、経済状況を好転させることを条件として実施するため~」として、最終的には経済状況等を総合的に勘案したうえでの決定となっています。その他にも低所得者対策、軽減税率の適用の検討など、税率引き上げに当たっては、まだまだ問題が山積しています。
また、以前より問題視されていた消費税の益税の解消のための改正も行われ、特に95%ルールの改正については、その用途区分の考え方など多くの法人が影響を受けることから、各種専門誌での解説も多く、関連セミナーも大盛況となっています。事業者免税点制度の見直しも含めて、益税の解消は進むものと思われますが、もともと事業者の事務負担を軽減するための制度で生じた益税であり、これらの制度が見直されたことで、事業者にとっては事務負担が大幅に増加する結果となりました。
今回の税率引き上げにより、消費税の改正については一段落と言えますが、税率引き上げ時の経過措置の適用や、95%ルールの適用による用途区分など、情報を整理し、実務の現場では混乱が生じないような対応が必要になります。

個人課税の強化が着々と進む

個人課税の強化が着々と進む

概要

平成24年度税制改正において、給与所得控除額の上限設定(年収1,500万円超)、短期勤務役員の退職所得の2分の1課税の廃止、国外財産調書制度の創設などが決定されました。平成25年度税制改正においても所得税の最高税率の引き上げや相続税の税率引き上げ、基礎控除の縮小などが議論されています。
国税当局が公表した税務調査の結果をみても、国税当局では所得税においては高額所得者などのいわゆる「富裕層」に対する調査を重点課題と位置付けているようです。相続税においては2011事務年度における申告漏れ件数、修正金額は過去10年で最多とされ、贈与税についても積極的な調査を実施した結果、調査件数では前期比16.2%、申告漏れ件数では前期比17.1%増であったとのことです。

コメント

近年の税制改正や国税当局の調査事績を見る限り、個人に対する課税強化は着々と進んでいることが伺えます。国内、国外ともに経済状況が好転しないため、法人からの税収が期待できない以上は、個人、特に高額所得者、富裕層からの税収に期待するしかないのが日本の税制の現状ということでしょうか。
平成21年に民主党政権となり、「控除から支給へ」として年少扶養控除が廃止され、こども手当の支給を受けたものの、こども手当が廃止されたことで、高額所得者に限らず、結局は増税による負担増となっている個人の方も少なくないと思われます。
衆議院選挙の期間中、ある政党の候補者が「国民の皆様には多少の痛みはお願いしなければならない」と演説していました。個人に対する課税が強化されたとしても、雇用、子育て、医療、年金などで我々に還元され、安心して生活していけるよう新政権には期待したいものです。

復興財源確保のための税制スタート

復興財源確保のための税制スタート

概要

東日本大震災からの復興のための財源確保を目的として、「東日本大震災からの復興のための施策を実施するために必要な財源の確保に関する特別措置法(復興財源確保法)」が平成23年12月に施行されました。これにより平成24年4月から3年間復興特別法人税(通常の法人税額×10%)が、平成25年1月から25年間復興特別所得税(通常の所得税額×2.1%)が課せられます。
これらの税金は新たに創設されたものであるため、国税当局も今年に入り、その概要やQ&Aを相次いで公表するなど、その周知を図っています。
一方、震災と直接的な関係が不明な復興財源の流用問題も表面化しました。

コメント

復興特別法人税は平成24年4月1日以降開始事業年度からの適用となるため、3月決算法人の場合には、平成25年3月期からの適用となります。しかし合併や解散、連結グループへの加入などによるみなし事業年度にかかる確定申告では、平成24年中に復興特別法人税の確定申告を行ったケースも存在しています。
また、復興特別所得税は平成25年からの適用ですが、特に事業者としては給与や報酬等に係る復興特別所得税の源泉徴収についての対応が必要となりました。具体的には、源泉徴収税率が変更になるため、契約内容により、支払先の手取り額が減少するケース(報酬額を総額で決定しているケース)と支払元の支払額が増加するケース(報酬額を手取額で決定しているケース)が生じますので、契約金額の見直しの検討が挙げられます。1件、1ヶ月あたりの増減金額は少額であるため、検討の必要性はないと思われるかもしれませんが、源泉徴収が必要な支払先が多い場合や25年間徴収することを考えますと、やはり検討はしておいたほうがよいでしょう。
復興財源の使途については、震災とは直接関係のないところへの流用が問題になりました。上記Ⅰ、Ⅱの消費税の税率引き上げ分や所得税、相続税の増税分は社会保障の財源に充てるためのものとされています。増税の目的、使途、その結果について我々が納得できるものとなるよう、新政権には期待で終わることなく結果を出してほしいものです。

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あいわ税理士法人
税理士
佐々木 泰輔

大学卒業後、個人会計事務所勤務を経て、2005年あいわ税理士法人入所。法人、個人に関する税務業務のほか、税務専門誌への寄稿や各種セミナー講師に従事。

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