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【プロの視点】東証大証統合後の制度を考える

証券取引所

2013年2月12日に東証はIPO関係者に向けて、大阪証券取引所との統合に向けての、現物市場と上場制度に関する基本的な考え方に関するセミナーを開催しました。

まず、統合後のイメージとして、大証の1,2部はそれぞれ東証の1,2部に編入されることとなり、JASDAQはそのまま東証の中に残るということです。したがって、ベンチャー向けの市場として東証にはJASDAQ(913社)とマザーズ(182社)が併存し、さらにTOKYO PRO MARKETも残ることになるということです。JASDAQは多様な企業群を対象とし、マザーズは成長企業向け市場として区別することになるそうです。

マザーズ上場のメリットとして、「上場日から満1年を経過したのち時価総額が40億以上あれば東証1部に市場変更できる」というものがありましたが、JASDAQについては、大証の市場変更のルールが「上場してから6か月以上経過」というものであったために、それを準用して、「JASDAQ上場後6か月を経過していれば1部への指定替え申請はできる」とのことです。
ただし、時価総額が40億でよいのか従来基準通り250億以上必要なのかはまだはっきりしません。この基準は合わせてもらう必要があります。加えて、東証1部銘柄の時価総額の実際の値なども含めて、再検討する必要があります。そして、東証1部は日本を代表する会社ということになりますから、社会貢献のレベルやガバナンスの問題などへのさらなる対応が求められるべきでしょう。   なお指定替えのための審査料はマザーズと同様に400万ということに決まっているようです。この決まり方によってはJASDAQに既上場の会社の多くが東証1部に指定替えを検討することになるでしょう。また、JASDAQの東証1部への指定替えの楽さからマザーズでの上場を考えていた会社はJASDAQも検討することになるでしょう。そして、大証の既上場会社については、3年程度の経過期間ののち、上場廃止のルールなどが東証に完全に一本化されるように考えているとのこと。
また7月16日の統合予定日前に大証に上場申請した会社については、東証の要件を充足していない場合であっても大証のルールを適用して、問題なければそのまま受理されることになるとのこと。つまり当初から東証上場を考えている会社が形式要件のいかんによっては、大証に申請しておくという作戦もありうるということになるだろう。
例えば東証本則市場では利益の額に関して2年で5億という基準があるのに対し大証では直前期1億円のみとなっています。

以上のように大筋では、東証のルールに合わせて一本化していくというのが基本となっているのですが、反社確認書記載範囲については、大証の方がより細かい規定を設けていたのでそれに合わせる形となります。具体的には、直前期の決算書において総資産の5%、あるいは純資産の30%程度以上になる残高の相手先、寄付金、交際費のある相手先への支払総額が営業利益の5%以上となる相手先となっています。   つまり準備段階において、それぞれの額がどのくらいになるか事業計画から予測しておいて、該当する可能性がある相手先に関しては、反社の問題がないといえるかどうかよく考えておく必要があるということです。その他審査の手続きなどで従来と大きく異なるところはありません。JASDAQがⅡの部の提出を求めなくなった後にJQレポートという資料の提出を求めることとしましたが、この考え方が統合後の審査の進め方に関して残されていくようです。   (従来マザーズの審査では担当者ベースのヒアリングと関連資料の提出を求められていましたが、これに一定の項目をすでに盛り込んであるJQレポートを活用しようということかと思われます。)

今後のスケジュールに関しては、1月に公表された「統合要綱」について3月1日までパブリックコメント手続きが行われ、その後規則改正の申請が行われ4月に改正の認可を受け7月16日の統合実施ということになるそうです。IPOが増加してくるような活力のある社会を作るために、この機会に皆さんも思うところをコメントされてはいかがでしょうか。

【執筆】日之出監査法人 小田哲生  

出典:東京証券取引所

大阪証券取引所との現物市場の統合に伴う関連諸制度の整備について

Ⅰ 趣旨
本年1月1日の株式会社日本取引所グループの発足を受け、市場機能の集約及び売買システムの統一による速やかなシナジーの実現のため、同グループの子会社である株式会社東京証券取引所(以下「東証」といいます。)と株式会社大阪証券取引所(以下「大証」といいます。)では、本年7月16日付で 大証の現物市場を東証の現物市場に統合いたします。
上記の現物市場の統合にあたり、大証の市場第一部・第二部(以下「大証本則市場」といいます。)に上場している銘柄を東証の市場第一部・第二部(以下「東証本則市場」といいます。)に上場するとともに、大証のJASDAQに上場している銘柄を新設する東証のJASDAQに上場するほか、現在、大証に上場しているその他の現物商品を新たに東証市場でも取り扱うこととするなど、東証の上場制度、取引参加者制度及び売買制度等について所要の整備を行います。
>> 続きを読む (外部リンク: 東京証券取引所)

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