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「広告等表示」 WEBサイトの内容が他社に取られた時の法的手続  ―ベンチャー企業法務 vol.001

フォーサイト総合法律事務所
代表パートナー弁護士
大村 健

私は、ベンチャー企業法務を中心として取り扱う弁護士です。

ここでいう「ベンチャー企業」とは、基本的にIPO(株式上場)を目指しているベンチャー企業をイメージしています。弁護士登録してから十数年間、一貫してこの分野を取り扱ってまいりましたが、数年ほど前から、上場はしているが、さらに上の市場を目指している企業やIPOとは関係のない中堅・中小企業の案件にも対応しています。

このコラムでは、私が、業務を遂行する過程で経験した案件、私の考えや想いをもとに、守秘義務に反しない範囲で(場合によってはアレンジして)、思いつくままに執筆していきたいと思います。

そのため、全体を通してのタイトルを「ベンチャー企業法務」としましたが、時として、ズラズラと書くこともあれば、Q&Aで書くかもしれませんので、統一性がないかもしれません。この点、予めご了承ください。

事件は突然やってきた!

今回は、広告等表示についてです。

ECサイトを運営している会社から広告表示の適否について相談を受けることが多いのですがその際には、不当景品類及び不当表示防止法(以下「景表法」といいます。)や薬事法等に照らして違法かどうかを判定したりしています。


そんな中、以下のような事件が勃発しました。
A社は、数年前から、特異なビジネスモデルで好評を博していたバイオ関連のベンチャー企業でした。非常にニッチなビジネス分野でしたので、サービス開始後の数年間は、大手企業も参入せず、A社が非常に高いシェアをキープしていました。

そのような状況下の中で、時代の趨勢からか、同業の大手上場企業B社が参入の意向をプレスリリースしました。A社としては、大手企業が参入してくること自体は予期していたため、特に意にも介さなかったのですが、プレスリリースの中で「当該ビジネスモデルは、国内初」という記載に目が止まりました。

それだけならばまだしも、B社のウェブサイトを見ると、何とA社のウェブサイト上のビジネススキームの流れ図や説明文が類似していることがわかり、B社はA社が同じビジネスを行なっていることを知りつつ、「国内初」と表示したことに非常に憤りを感じました。


血相を変えて、当事務所を訪れたA社の社長に、我々は以下のようなアドバイスをしました。
まず、A社のウェブサイトの表現に「創作性」があると考えられましたので(一般的には創作性とは完全な独創性までは要求されておらず、また学術性や芸術性の高さも問題とはならず、何らかの個性が現れていればよいと解されています[i])、A社とB社のウェブサイト上の表現は類似していて、A社が考え出した単語も流用されているなどしていて「依拠性」もありますので、著作権侵害に基づく、ウェブサイトの差止請求をすることが可能です。

次に、一般消費者が、B社のビジネススキームの表示を見た場合、A社の表示を連想・想起し、A社の営業と混同するおそれがあるような場合には、不正競争防止法第2条第1項第1号の「商品・営業主体混同惹起行為」に該当しますので、不正競争防止法違反に基づき、ウェブサイトの差止請求をすることが可能です。


さらに、「国内初」という記載については、一般消費者に対して、このビジネスモデルは国内ではこれまで例が無く、B社が初めてであるという印象を与えるものであり、景表法第4条第1項第1号の「事実に相違して当該事業者と同種若しくは類似の商品若しくは役務を供給している他の事業者に係るものよりも著しく優良であると示す表示であって、不当に顧客を誘引し、一般消費者による自主的かつ合理的な選択を阻害するおそれがあると認められるもの」(優良誤認表示)として、禁止されるものであり、万一、警告してもこれに従わない場合には、消費者庁への措置命令を求めることが可能です。B社は上場企業でしたので、事前に顧問弁護士等に確認しているはずですので、わざとやったのかもしれません。


以上のアドバイスの後、A社の意向により、当事務所が代理人にならずに、A社の名前で、警告書を出すことになりましたので、我々が内容証明郵便の文案を起案して、A社名で警告書を発送しました。

A社が、B社に対し、警告書を発送すると、すぐさまB社から回答書が届きました。内容は、プレスリリースは表示されないようにするが、ウェブサイトについては、2週間ほど検討させてほしいというものでした。この時点で、プレスリリースが表示されなくなったことによって第一の目的は達成できました。

2週間後にB社の代理人弁護士から回答書が届きました。内容的には争っているものの、無用な争いを回避するためにウェブサイトを作り変えるということでした。 この結果、A社としては、事実上の勝利を収めました。


[i] 中山信弘『著作権法』(有斐閣)49頁


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大村 健

取扱分野は、ベンチャー企業法務(IPO関連含む)、IT・ネット・web・エンタメ・バイオ関連法務、会社法、金商法、M&A、知的財産法、独占禁止法・下請法・景表法、労働法、不動産関連等