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適用税率を誤った場合に売上側・仕入側に与える影響は?  ―企業が避けて通れない「消費税増税」対策講座 vol.007

あいわ税理士法人
マネージャー 税理士
佐々木 みちよ

今回は適用税率を誤った場合の影響について、具体例を用いてご説明いたします。

適用税率の原則と経過措置

消費税率は、資産の譲渡等があった日の税率が適用されるというのが、適用税率の原則的な考え方です。したがって、資産の譲渡等があった日が税率引き上げの施行日前であれば旧税率が、施行日以後であれば新税率が適用されます。

例外として、経過措置の対象となる取引については、施行日以後の資産の譲渡等であっても旧税率が適用されます。

適用税率を誤った場合の消費税の計算

適用税率は納税者が自由に選択できるものではありません。経過措置の適用がない取引については、その資産の譲渡等を行った日の税率が強制適用され、経過措置の要件を満たす取引には旧税率が強制適用されます。

強制適用されるという意味は、もしも適用する税率を誤った場合であっても、消費税申告書の作成上は本来適用すべきであった税率により納付消費税額を計算するということです。適用税率を誤った場合の計算は以下のようになります。

1. 本来8%を適用すべきものを5%で販売した場合



当初予定していた税抜販売価格1,000に対して、最終的な税抜販売価格は973となり、売上側にとっては27の値引きをしたことになります。一方仕入側にとっては27の値引きを受けたことになります。

2. 本来5%を適用すべきものを8%で販売した場合



当初予定していた税抜販売価格1,000に対して、最終的な税抜販売価格は1,029となり、売上側にとっては29の値上げをしたことになります。一方仕入側にとっては29の値上げを受けたことになります。

適用税率を誤った場合だけでなく、売上側と仕入側で本来適用すべき税率とは異なる税率で取引を行う合意があった場合も同様の結果となります。本来適用すべき税率とは異なる税率で取引を行う合意をしたということは、値引きまたは値上げをするという合意をしたことを意味します。

引渡予定日が施行日前の商品(税込価格1,050円)について、引渡日が遅延して施行日以後となったにもかかわらず税込販売価格を据え置いた場合も、経過措置の適用がない限りは、上記1のとおり27円の値引きをしたことになります。

適用税率の原則と経過措置の内容を良く理解し、自社が売上側の場合には予定外の値引きをしたことにならないように、自社が仕入側の場合には予定外の値上げを受けたことにならないように、注意する必要があるといえます。

 

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あいわ税理士法人
あいわ税理士法人
佐々木 みちよ

2002年藍和共同事務所(現あいわ税理士法人)入所。大手・中堅企業への組織再編に関するアドバイス業務や連結納税導入前後の税務コンサルティング業務に従事するほか、税務専門誌への寄稿や各種セミナー講師に従事。

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