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軽減税率導入で注目すべきポイントは?  ―企業が避けて通れない「消費税増税」対策講座 vol.002

あいわ税理士法人
マネージャー 税理士
佐々木 みちよ

消費税の軽減税率導入時期については、消費税率8%引き上げ時(平成26年4月1日)の導入は見送られることになりました。一方で、先に公表された平成25年度税制改正大綱では、『消費税率10%引き上げ時(平成27年10月1日)に、軽減税率制度を導入することをめざす』と明記されました。

軽減税率導入までに協議すべき課題

もともと8%引き上げ時に導入を目指していた公明党と、10%引き上げ時の導入にも慎重意見のあった自民党との間で妥結点が探られた結果、税制改正大綱ではこのような表現が採用されることになったようです。

税制改正大綱では、軽減税率導入までに協議すべき課題として以下の項目が挙げられています。

1.対象、品目
2.軽減する消費税率
3.財源の確保
4.インボイス制度など区分経理のための制度の整備
5.中小事業者等の事務負担増加、免税事業者が課税選択を余儀なくされる問題への理解
6.その他、軽減税率導入にあたって必要な事項

これらの課題の中で、事業者として注目すべき点は以下のとおりです。

対象・品目、軽減する消費税率

諸外国の制度上は、多くの国で食料品や生活必需品、新聞等が軽減税率の対象となっています。これらの品目にかかる消費税率は、軽減されている場合や免除される場合などさまざまです。

インボイス制度など区分経理のための制度

軽減税率導入には、いわゆる「インボイス方式」の採用が不可欠と言われています。今回の税制改正大綱では、このインボイス方式の整備や事業者への周知期間が足りないことを理由に、8%税率引き上げ時の軽減税率導入が見送られることになりました。

消費税納付額の計算上、仕入税額控除には「インボイス方式」と「請求書保存方式」とがあります。

日本の消費税法における仕入税額控除には「請求書保存方式」が採用され、課税仕入れの支払い対価の額の5/105(消費税および地方消費税合計)相当額の仕入税額控除ができることとされています。「請求書保存方式」は、事業者の事務負担が過重にならないという点で優れていますが、消費税の納税義務がない免税事業者からの仕入れについても、仕入側で仕入税額控除がとれる制度設計になっており、預かった消費税から支払った消費税を控除する、いわゆる前段階税額控除方式を歪める一因ともなっています。

「インボイス方式」とは、インボイス(送り状)という書類に取引金額や適用消費税率、税額などを明記して販売者から購入者へ交付する方法です。消費税納付時には、自社が交付したインボイスに記載された消費税額から、受領したインボイスに記載された消費税額を差し引いて、納付税額を計算します。軽減税率の導入によって、品目により税率が異なることになると、負担した消費税額をより簡単に、正確に把握するためには、「インボイス方式」が優れていると言われています。

諸外国の制度上は、消費税の免税事業者はインボイスを発行できないこととされています。「インボイス方式」は、前段階税額控除方式をより厳密に実現できる点でも優れているといえます。

中小事業者等の事務負担増加、免税事業者が課税選択を余儀なくされる問題

前述のとおり、「インボイス方式」が導入されると免税事業者からの仕入れについては仕入税額控除がとれないことになるため、免税事業者との取引が敬遠される懸念があります。中小零細事業者にとっては死活問題であるため、何らかの措置が講じられるものと思われます。

消費税率引き上げを契機に、軽減税率や「インボイス方式」の導入が現実味を帯び、事業者にとっては今後一層の事務負担の増加要因になるといえます。情報収集と制度の事前理解、会計システムの対応等、早め早めの準備が求められることになるでしょう。

 

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あいわ税理士法人
あいわ税理士法人
佐々木 みちよ

2002年藍和共同事務所(現あいわ税理士法人)入所。大手・中堅企業への組織再編に関するアドバイス業務や連結納税導入前後の税務コンサルティング業務に従事するほか、税務専門誌への寄稿や各種セミナー講師に従事。

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