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資本政策から見る最近のIPO動向 IPOのプロが伝えるベストプランとは  ―たかがIPO、されどIPO vol.007

株式会社サクセスサポート
代表取締役
堀之内 泰治

IPO市場の動向は、昨年後半からの市場の活発化と相俟って復活の兆しが漸く見えてきたように思えます。実際にIPOセミナーへの参加者数やIPO準備に関する問合せ等も増加の傾向にあると感じております。今年に入っても4月末までのIPOの公表社数は15社(昨年は12社)であり、引き続き好調なペースを維持している状況にあります。

今回のコラムでは、IPO準備において最初に検討すべき事項のひとつである「資本政策」の観点から、最近のIPO動向について考えてみたいと思います。

資本政策とは

資本政策とは、現在の株主構成から株式上場後を見据えて、最適な資本構成に変えていくための具体的実施事項(のシミュレーション)をいいます。会社の事業計画をベースに取引所の上場基準の充足、株式の安定化や資金調達、出資可能金額、役員・従業員へのインセンティブの付与等を総合的に勘案して実施内容を決定していきます。

企業のオーナーにとって株式上場における基本方針に係る事項であること、また、上場直前2期間については、取引所の規制(開示・継続保有)もあり、慎重な検討が必要です。

例えば、現在の会社の発行済株式数が200株(資本金10百万円、1株50,000円払込み、社長が100%保有)とします。上場時には、発行済株式数が数百万株の規模になることが想定され、その中で株式の安定化を図りながら資金調達を行い、また、事業承継(株式承継)等についても考慮をしながら、株式上場時までに具体的に実行していく内容、手段を決定する必要があります。

<資本政策を立案するための主な指標>

IPOを目指す企業の資本政策上の当面の到達点は、株式上場時となります。以下の指標の株式上場時における数値を想定しながら資本政策を立案します。
 

最近のIPO企業の資本政策上の動向

以下に2012年のIPO社数46社、2013年の(公表された)15社の株式上場時点での資本政策上の指標について、当社で調べた数値を記載しております。



(注)
1. 2012年の平均値算定にあたって、ライフネット生命保険、日本航空、全国保証を、2013年の平均値算定にあたって鴻池運輸、ブロードリーフ、タマホームを、企業規模等が大きいことから、平均値の算定より除外しております。

2. 売出株数には、オーバーアロットメントによる売出株数は含んでおりません。

3. 予想当期純利益は、上場時に各社が開示した予想利益を発行済株式数で割った数値です。

 

(1)発行済株式数及び公募・売出株数の比率

平均値でみると、発行済株式数及び公募・売出株数の比率とも経験上「妥当な水準にある」といえます。しかしながら、個別にみると発行済株式数が100万株から200万株水準の企業も多くあり、発行済株式数から見れば「二極化」が進んでいることがわかります。言い換えれば、小規模の会社の上場促進が進んでいるともいえます。

(2)予想当期純利益額および予想1株当たり当期純利益、株価収益率

予想当期純利益額の水準は上昇傾向にありますが、「妥当な水準に近い」といえます。

一方で、予想1株当たり当期純利益については、「かなり高い水準にある」というのが個人的な見解です。特に今年の平均は高い水準にあると感じています。

これは、公開価格に対する株価収益率(PER)が10倍前後の水準にあることから、公開価格の決定に影響のある予想1株当たり当期純利益に対して、高い水準が求められていることが背景にあるかもしれません。資本政策の立案(公開価格の設定)にあたっては、十分に留意しておく必要があります。

(3)時価総額

時価総額の水準も上昇傾向にありますが、「妥当な水準にある」といえます。

資本政策の立案にあたって

上記で説明した指標及び水準については、IPOに向けた資本政策を立案していく中で十分に留意しておく必要があります。

上記の指標の水準と大きくかけ離れた水準(会社の希望的な数値設定)で立案した資本政策では、外部からの資金調達を行う場合や株式上場時での公開価格の設定等に大きな影響がある可能性が高くなりますので、経営者(あるいはオーナーの方)に十分理解していただく必要があります。

企業それぞれの特性や事情があり、ベストのプランを作成するのは難しいかもしれませんが、証券会社等の見解を踏まえて多くのパターンを比較してベストのプランに絞り込んでいく必要があります。

 

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堀之内 泰治

1999年日興證券㈱退職、IPOコンサルティング開業。独立後、14社のIPO・POの成功をサポート。前職の証券会社の公開引受部の時代を含め、約20年間IPOの世界で活躍中。