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第4回:弁護士にも活用してほしい「法務デューデリジェンスチェックリスト」|「法務デューデリジェンス」で会社のリスクを洗い出せ!

弁護士
佐藤義幸

現在、企業のコンプライアンス、コーポレートガバナンスへの取り組みの重要性が高まっています。これらは、訴訟・紛争や不祥事などの企業のリーガルリスクを回避するための施策という意味で “企業の生命線”とも言える重要課題です。本連載では、先ごろ、書籍『法務デューデリジェンスチェックリスト』でもご紹介している「法務デューデリジェンス」の意義と実施のポイントについて説明します。


【目次】
第1回:ベンチャー企業が成長するための必須知識「法務デューデリジェンス」
第2回:中小企業の自己診断に「法務デューデリジェンスチェックリスト」の活用を
第3回:ベンチャーキャピタルにもお勧め!「法務デューデリジェンスチェックリスト」で効率アップを
第4回:弁護士にも活用してほしい「法務デューデリジェンスチェックリスト」 


今回は弁護士の目線での法務デューデリジェンスチェックリスト活用方法についてご紹介します。

生産性の高い法務デューデリジェンスを

弁護士が生産性の高い法務デューデリジェンスを実施する上でも「法務デューデリジェンスチェックリスト」は役に立つと考えています。

少し前までM&Aや法務デューデリジェンスを取り扱える法律事務所が少なかったこともあり、今より高い報酬を請求しやすい状況でした。しかしそうした時代でさえも、法務デューデリジェンスが「儲かる」仕事であったかといえば、実は必ずしもそうとは言えませんでした。

「高い報酬をもらう以上は何らかの成果を出さなければならない」というプレッシャーから、必要以上に詳細な報告書になってしまうことも多く、膨大な時間を費やされた結果、法務デューデリジェンス単体では「赤字」となることも少なくなく、必ずしも生産性が高いということはありませんでした。

まして現在では法務デューデリジェンスも一般化してきましたので、いかに効率よくクライアントのニーズを満たす調査を行うかがポイントとなっており、生産性の向上は欠かせません。

そのためには、法務デューデリジェンスを開始する前に、どの分野をどういったレベル感で調査しどのような報告を行うかについて、クライアントと共通認識を持っておく必要があります。その際に「法務デューデリジェンスチェックリスト」のような叩き台があれば、効率的に作業を進めることができます。

また法務デューデリジェンスを経験したことのある弁護士でも、数多くの調査対象項目のうち1つか2つくらい、たとえば「契約」だけであったり「知的財産」だけであったり「人事労務」だけしかやったことがない、という人は多いと思います。このチェックリストが他の分野にも興味を持つきっかけになってくれれば嬉しいです。

「法務デューデリジェンスチェックリスト」の使い方は千差万別

法務デューデリジェンスやM&Aにあまり縁のない弁護士であっても、顧問先の会社が法務デューデリジェンスの対象となった場合にいつ相談が来てもいいように、法務デューデリジェンスにおいてどういった点が調査対象となるかは知っておいて損はありません。契約書の作成やレビューを行う際にも、法務デューデリジェンスの観点からどういった条項が問題となりやすいかについて、当然意識しておくべきです。

また例えば顧問先から「うちの会社の従業員の労働時間管理について、何か問題ありませんか?」などと法律相談を受けることはよくあると思いますが、その際もこのチェックリストを活用することでチェック漏れを防ぐことができるでしょう。

もっとも、このチェックリストはあくまで一つのツールですから、使い方は人によって様々で良いと思います。その人の創意工夫によって様々な使われ方をされてほしいですね。

最後に

会社がIPO準備に入る場合、通常監査法人等のショートレビューを受けて課題抽出を行いますが、同じ様に法務調査を行う「リーガル・ショートレビュー」が普及すると良いなと考えています。弁護士が、会社の法務担当者と一緒にチェックリストを使い、関係書類の整理や内容のチェックを行っていくイメージです。

この共同作業を通じて、無用な紛争により企業の成⾧がストップすることがなくなれば、と願っています。本書はそのためのツールとしてとても役立つと思います。より多くの方に、ぜひ一度、ご覧いただけましたら幸いです!

このコラムのより詳しい内容は書籍でもご紹介しています。

この記事でご紹介している「法務デュ―デリジェンス」を自分でスタートできるチェックリスト&解説集です。

 

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弁護士
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佐藤義幸

山口県出身。京都大学法学部・ニューヨーク大学ロースクール卒。弁護士。90年代の半ばからスタートアップ企業の法務・知財戦略支援、ベンチャー投資ファンドの組成・投資支援、IPO支援など、多くのベンチャー関連業務に携わる。