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第2回:中小企業の自己診断に「法務デューデリジェンスチェックリスト」の活用を|「法務デューデリジェンス」で会社のリスクを洗い出せ!

弁護士
佐藤義幸

現在、企業のコンプライアンス、コーポレートガバナンスへの取り組みの重要性が高まっています。これらは、訴訟など企業のリーガルリスクを回避するための施策という意味で “企業の生命線”とも言える重要課題です。本連載では、先ごろ、書籍『法務デューデリジェンスチェックリスト』でもご紹介している「法務デューデリジェンス」の意義と実施のポイントについて説明します。


【目次】
第1回:ベンチャー企業が成長するための必須知識「法務デューデリジェンス」
第2回:中小企業の自己診断に「法務デューデリジェンスチェックリスト」の活用を
第3回:ベンチャーキャピタルにもお勧め!「法務デューデリジェンスチェックリスト」で効率アップを
第4回:弁護士にも活用してほしい「法務デューデリジェンスチェックリスト」 


今回は「訴訟」というリーガルリスクのポイントと、リスク回避のための法務デューデリジェンスの必要性について説明します。

多額な費用を要する「訴訟問題」への備えを!

企業がM&A(買収等)やIPO(上場)を行う上で「法務デューデリジェンス」は必要不可欠となりますが、これらを考えていなくても、自社のリーガルリスクを洗い出して対策をとっておくことは重要です。企業によってリーガルリスクへの考え方や取り組み、体制はさまざまですが、「費用がかかる」「時間がかかる」「人手不足」といった理由からどうしても法務関連業務への取り組みは後回しになってしまう企業も多いようです。

しかし、見ないふりをしていてもリーガルリスクが自然と消えてくれることは期待できませんから、それをそのまま放置しておいてよいはずがありません。早めに自社のリーガルリスクをチェックして、問題が顕在化する前に事前に芽をつんでおく必要があります。

企業のリーガルリスクの代表的なものとしては、企業間の損害賠償などの訴訟問題があります。たとえば訴訟大国と言われるアメリカでは、企業は常に巨額賠償のリスクを抱えていて、もし損害賠償などの訴訟を起こされたら、日本円で数十億、数百億といった巨額な賠償金を支払わなければならないケースもあります。

アメリカの民事訴訟には「ディスカバリー制度」というものがあるのですが、これは何かというと、民事訴訟のとき審理に備えて、当事者双方が相手方に対して、証拠(書類や証言など)の開示・提示を求めることができる手続きです。

このディスカバリーへの対応に巨額な費用がかかる場合があり、1つの訴訟だけで何億円もかかってしまうこともあります。訴訟問題に巻き込まれると、たとえ損害賠償金を支払うことがなかったとしても、訴訟への対応の段階で莫大な費用がかかってしまう場合があります。そのため日本でも、いわゆるグローバル企業では、そのあたりのコスト感を理解した上で、リーガルリスクへの対応をしっかりと行っている会社が多いです。

しかし海外に比べて訴訟リスクの低い日本の企業では「別にそこまでは考えなくてもいいのでは?」と考えているところも多いように感じます。

アメリカのように訴訟で巨額な費用がかかるリスクは低いとしても、訴訟問題によるレピュテーションの低下などのリーガルリスクに対処するための対策を取っておくことは、ビジネスのグローバル化が進む今、国内企業にとっても必要なことだと思います。

増加する「企業内弁護士」。その背景にあるものは?

例えば商社などを見ると、国内外の有資格者を数十名そろえて、一種のローファーム(法律事務所)のようなものを作っている会社もあります。一方で、特に専任の法務担当を置いていないという上場会社ありますから、法務に対する取り組み、体制づくりは企業によって本当にさまざまです。

以前の日本では、企業内弁護士(企業に雇用されて、企業内で働く弁護士)の数は少なかったのですが、最近では非常に増えているように感じます。その理由はやはり「リーガルリスクを回避するための体制を強化しないといけない」と考える企業が増えてきたからだと思います。

リーガルリスクを減らすためにコンプライアンス(法令遵守)やコーポレートガバナンス(企業統治)を重視している企業は、さらにそこを強化・充実させていこう、という傾向にあります。

時間とお金がない中小企業こそ「法務デューデリジェンスチェックリスト」の活用を!

海外で事業展開していたり、海外との取引が多く訴訟リスクにさらされている会社は、リーガルリスクに対する意識が非常に高く、他の企業に比べて社内弁護士も法務担当者も充実しています。

しかし特に中小企業では、社内弁護士どころか社外の弁護士に法律業務を依頼する予算も限られている企業も多いのが実情です。

宣伝となって恐縮ですが、そこで役立つのが「法務デューデリジェンスチェックリスト」です。

弁護士や外部の専門家に依頼する前に、このチェックリストを活用して、まず自分たちで会社の「自己診断」をしてみる。次に、そこで明らかになってきた問題を解決するために、どこにどれだけの費用を投じるかを検討する。この「法務デューデリジェンスチェックリスト」は、そうした使い方ができるのではないかと思っています。

「法務にあまり時間とお金をかけたくない」「そうは言っても、自分たちは専門知識がない。どうしたらいいんだろう?」と思っている中小企業の皆さんにこそ、ぜひこの「法務デューデリジェンスチェックリスト」を利用していただきたいですね。

このコラムのより詳しい内容は書籍でもご紹介しています。

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弁護士
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佐藤義幸

山口県出身。京都大学法学部・ニューヨーク大学ロースクール卒。弁護士。90年代の半ばからスタートアップ企業の法務・知財戦略支援、ベンチャー投資ファンドの組成・投資支援、IPO支援など、多くのベンチャー関連業務に携わる。