経営者の「知りたい」を解決するプロフェッショナルによるウェブメディア

  • TOP
  • BROコラム
  • 第1回:経営チームがなければ事業は伸びない

第1回:経営チームがなければ事業は伸びない|後継問題はこれで解決!

トップマネジメント株式会社
代表
山下淳一郎

”ごくごく小さな事業を除くあらゆる事業において、CEOの仕事は、一人の仕事として組み立てることは不可能だということである。それは、共同して行動する数人からなるチームの仕事として組み立てる必要がある。”― ピーター・ドラッカー


経営の仕事は社長一人でこなせるものではないとドラッカーははっきり言っています。
事実、世の中のニーズはますます多様化し、私たちの仕事もますます複雑になる今日にあって、経営の仕事は、社長一人でできるものではなくなっています。
一人ではできない経営の仕事を、チームの仕事として成り立たせるためのポイントをお伝えしていきます。


【目次】
第1回:経営チームがなければ事業は伸びない
第2回:成功した企業には経営チームがある
第3回:経営チームが守るべきつのこと
第4回:経営人材を選ぶ5つの視点
第5回:一枚岩の経営チームをつくりたい
第6回:次世代の経営チームをつくりたい
第7回:経営人材はこう育つ


今回は第1回「経営チームがなければ事業は伸びない」についてお伝えします。

社長が掲げた改革

「役員の考えがばらばらで、会社としての意思統一が図れていない……」
「こまごまとした打合せに時間がとられ、自分の仕事をする時間がない……」
「ここ数年、立てた目標を達成できず、業績は伸びていない……」
「やろうとする改革にいちいち抵抗が起こり、会社は何も変わらない……」
「日々、目の前の仕事に忙しく、気が付けば経営がおろそかになっている……」
「ボードメンバーはお互いの考えを確認し合う時間がなく、意見はまとまらない……」
「4人の取締役は担当部門の仕事に追われ、会社全体を見ているのは私一人だ……」

これは、ある企業のCEO(最高経営責任者)からお聞きしたものです。

名刺に「取締役」と書いてあっても、経理出身の取締役は毎日エクセルをにらみ、営業出身の取締役は日々、出張に走り回っています。なぜ、取締役は取締役として動いてくれないのでしょうか。

取締役になった人は、一つの分野で際立った成果をあげた結果、経営陣の一員に昇格した人です。しかし、「これまで経験を積んできた分野の仕事」と「会社全体をマネジメントする仕事」はまったく違います。

部長クラスまでは部門の成果をあげていればよかったものが、取締役になると、これまでの仕事の勝手が変わります。ゆえに、取締役になった人も、どう経営の仕事にあたっていいかわからないのです。

かく言う私がそうでした。ひとたび、取締役という肩書きがついてしまうと、「できて当然」とされ、教育対象から外されます。そして、「わかって当然」とされ、意思の疎通は行われません。

その結果、取締役は社長の意を察することが「取締役の心得」とされ、社長の意を察して動くことが「取締役の仕事」であるかのようになります。

こうして、取締役のエネルギーは、会社の成長より、社長の意を察することに向けられていきます。

いったい取締役の仕事とは何なのでしょうか。

それは、経営会議ではなく部門長会議

取締役兼開発部長は、開発の進捗が遅れていれば業務の調整に忙殺され、
取締役兼管理部長は、広報、経理、労務、法務、IR等、多種にわたる業務の対応に、日々追われています。
取締役兼営業部長は、予算が達成できていなければ目に火花を散らして、予算達成に全力投球することは、さきほどお伝えしたとおりです。

あまりにもやることが多すぎて、取締役としての仕事は置き去りになります。
それは、無責任だからではなく、本当に忙しいからです。

経営会議で話されることといえば、それぞれが担当する部門の状況報告です。
営業部長は売上のこと、開発部長は商品のこと、管理部長は人事や労務に関することです。
そして、同席している社外取締役が、それなりのコメントをひとこと言って終わりです。

そこには、「会社をどう良くし変えていくか」という具体的な話し合いはなく、「自分は持ち場の仕事をちゃんとやってます!」という発表の場に過ぎません。

それは、経営会議ではなく部門長会議です。

こうして事業は行き詰まる

事業が軌道に乗っていて、収益が安定してさえいれば安泰だ―。つい、そう考えてしまいます。
しかし現実は、電機メーカー、自動車メーカー、証券会社、銀行、家電量販店、建設会社など、「え!この会社が!」と思う大企業が傾いた例は少なくありません。
なぜ、不動の地位を獲得したかのように見えた最強の企業が、そうなってしまったのでしょうか。

ドラッカーはこう言っています。
 ”今日最強の企業といえども、未来に対する働きかけを行っていなければ苦境に陥る。
 個性を失いリーダーシップを失う。残るものといえば、大企業に特有の膨大な間接費だけである。”

未来に対する働きかけがおろそかになれば、どんなに強い会社であっても、やがては苦境に陥ってしまう、ということです。社会は常に変わっていくからです。

しかし取締役は、「未来に対する働きかけ」どころではなく、一つの部門の仕事に引きずり込まれ、日々の仕事をこなすことだけで精一杯です。

取締役は、それだけ忙しいのです。そのままでは、いつか必ず苦境に陥ってしまいます。

使命に向けて、お客様に尽くし、働く人の意欲を掻き立て、事業をどう運営し、会社をどう繁栄させていくか―。
何か一つ判断を誤れば、会社の将来を危うくし、そこで働く数百、数千の人たちの生活に大きな影響を与える、経営者の責任はあまりにも重大です。

経営者と言う言葉は、社長のことを言う意味合いとして使われていますが、取締役も経営陣に座を連ねる、経営者の一人です。取締役が経営しなくていいのでしょうか。もとい、経営者が経営しなくていいのでしょうか。

ドラッカーはこう言っています。
 ”経営者は経営しなければならない。”

社長一人で会社の将来を想い、社長一人で事業の先行きを考え、社長一人ですべてを検討し、社長一人ですべての決定を下し、社長一人で組織全体を動かしていく―。

そんな状態を続けてしまえば、会社の経営はおろそかになり、やがて事業は行き詰まってしまいます。

では、そうすればいいのでしょうか。次回お伝え致します。

このコラムのより詳しい内容は書籍でもご紹介しています

本書に書いてあることを実践すると、経営チームが生まれ、世代を超えて繁栄してゆく経営基盤が得られます。

 

このエントリーをはてなブックマークに追加

このコラムは役に立ちましたか?

読み込み中 ... 読み込み中 ...
トップマネジメント株式会社
トップマネジメント株式会社
山下淳一郎

トップマネジメント株式会社 山下淳一郎 外資系コンサルティングにてドラッカー理論に基づいたマネジメント支援を行う。現在は、年商100億円から300億円の上場企業に経営チームをつくるコンサルティングを提供している。