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税率改正に伴う販売管理システム・会計システム対応の留意点とは?  ―企業が避けて通れない「消費税増税」対策講座 vol.006

あいわ税理士法人
マネージャー 税理士
佐々木 みちよ

消費税率引き上げ時には、販売管理システムおよび会計システムの対応が必須です。税率引き上げの最終決定から実際に引き上げられる施行日までの期間が非常に短いことが想定されるため、速やかにシステム更新が実施できるような準備が今から必要です。

今回は、消費税率引き上げに関連した、システム対応の留意点をご紹介します。

販売管理システムの対応

1. 契約日・引渡日情報の管理

請負工事等の経過措置は、「指定日」前に契約締結し、「施行日」以後に請負工事等の引き渡しを行った場合に適用されます。適正な消費税率による販売管理のためには、システム上、「契約日」と「引渡日」の情報を持つことが重要です。

2. 税率の自動判定と手動選択

システム操作上の事務負担を軽減するためには、適用する消費税率を、資産の譲渡等があった日によりシステム上で自動判定できる仕組みが望ましいといえます。加えて、様々な経過措置に対応するため、適用する消費税率を別途手動により選択できる仕組みが必要でしょう。

3. 売上・仕入・債権債務の税率別管理

施行日前に販売した商品について施行日以後に返品を受けた場合には、販売時の消費税率により売上返品処理を行います。仕入返品についても同様です。また、施行日前に計上した売掛金が施行日以後に貸倒れた場合も、売掛金計上当初の消費税率により貸倒れ処理を行います。これらは、商品の販売や仕入から相当期間経過後に発生する可能性もあることから、販売管理システム上で発生時の消費税率情報を管理できる仕組みが必要です。

4. 適用税率別の請求書の発行(又は明細行の表示)

例えば、例月20日締切りで請求書を発行している場合は、平成26年4月20日締切りの請求書には、税率5%が適用される売上(平成26年3月21日~3月31日発生分)と、税率8%が適用される売上(平成26年4月1日以後発生分)とが混在することになります。取引先との間で適用税率をめぐるトラブルを回避するためにも、請求書上、税率別に明細行を表示するか、請求書を税率別に分けて発行する等の工夫が必要です。

5.  経過措置に係る通知義務の遵守(請求書等への記載)

経過措置の中には、売上側が仕入側に対して、経過措置の適用を受けたことその他一定の事項を通知する義務が課せられているものがあります。

通知事項は、請求書等に表示することで通知義務の要件を充足するものとされていますが、通知すべき項目には、従来発行している請求書等に記載されていない項目(適用を受ける改正消費税法の該当条項等)も含まれています。通知義務のある経過措置の適用を受ける場合には、請求書等の様式を、通知義務の要件を充足するものに変更することが求められます。

会計システムの対応

1. 売上・仕入・経費の適正税率による計上

(a) 税率の自動付与と手動選択

事務負担の軽減や仕訳計上ミスの最少化のためには、会計システムにおいても、税率の自動付与と、手動選択できる仕組みが必要でしょう。税率改正の施行日が事業年度の途中で到来する場合は、施行日において、自動付与される税率が正しく変更される必要があります。

(b) 売上返還・仕入返還・貸倒れへの対応

取引発生から相当期間経過後に発生した売上返還・仕入返還・貸倒れについても、取引発生時の消費税率により計上できる仕組みが必要です。

(c) 各勘定科目残高の税率別管理

例えば、平成26年4月5日が搭乗日である国内航空券の前売券を平成26年3月中に購入した場合には、経過措置が適用されるため、消費税率は5%になります。購入した前売航空券は一旦前払費用に計上され、4月に旅費交通費に振り替える処理を行うことになります。その際使用する消費税率は5%です。

一方、4月5日当日に国内航空券を購入した場合の消費税率は8%です。このように同じ4月の旅費交通費であっても、購入日により税率が異なることになります。前払費用などの勘定科目残高は税率別に管理できる仕組みづくりが必要です。

2. 消費税申告書の基礎資料

消費税申告書の基礎資料は、会計システムから出力していることが多いと思います。申告書作成作業の効率化・適正化のためには、今後は、税率別に課税売上・課税仕入および消費税額が集計できる仕組みが必要です。


上記以外にも、将来的な軽減税率導入の可能性を踏まえたシステム対応が必要といえるでしょう。税率引き上げの最終決定後、速やかにシステム更新が実施できるような準備が今から必要です。

【BRO編集部解説】消費税改正が業務に及ぼす様々な影響

※以下文章は、BRO編集部による解説文です。

消費税率の改正に伴い「こんな場合はどうすればいいの?」と処理にとまどうケースや、誤解を持ったまま業務を遂行してしまうというケースが起こり得ると思います。本解説では、消費税増税が業務に及ぼす影響について解説をしたいと思います。

【増税後の返品・返金対応について】
増税前に販売した商品を、増税後に返品、返金してほしいとの要望受けた場合、どのように処理を行えばよいでしょうか。

本コラムでも触れられている通り、売上返還、仕入返還、貸倒れは、取引発生時点の消費税率で計上を行う必要があります。2014年4月1日前に商品の販売を行い、その後2014年4月1日以降に返品・値引き・割戻し・貸倒れがあった場合、返品等の消費税計算に適用される消費税率は、当初の販売時点のものが適用されます。

これは、消費税増税後の経理処理のポイントになりますので、経理の担当者はもちろん、現場担当者も含めてしっかりと理解をすることが重要です。特に、施行日前に発生している売掛金、買掛金については正しい経理処理を理解しておく必要があるでしょう。

消費税改正が業務に与える影響は、大きなものから小さなものまで多岐に渡ります。ご不明な点は税理士にご相談いただき、ぜひ正しい経理処理を行っていただきたいと思います。


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あいわ税理士法人
佐々木 みちよ

2002年藍和共同事務所(現あいわ税理士法人)入所。大手・中堅企業への組織再編に関するアドバイス業務や連結納税導入前後の税務コンサルティング業務に従事するほか、税務専門誌への寄稿や各種セミナー講師に従事。

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