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私の営業体験 ~新規開拓で営業レベルの向上を~  ―会計士が行う営業研修 vol.005

株式会社カクシン
代表取締役 公認会計士 税理士 中小企業診断士
長山 宏

営業員にとって、新規開拓は特別に重要なテーマです。営業員としての基本的な営業マインドは、新規開拓によって培われるからです。どのような商売でも、お客様は売りつけられることを極端に嫌います。営業員が少しでも売ろうとすると、お客様は「間に合っています」とすぐに防衛の鎧を厚く身にまといつけて、営業員の勧誘には乗ってくれません。営業はそこからがスタートです。断られても、断られてもめげずに誠実にお客様のためを思ってアプローチし続けるうちに、信用されて質問を投げかけてくれて、チャンスを与えて頂けます。それに全力で応えて信用を勝ちとることが出来て、初めて見積り依頼となり、注文への道が開かれます。ルートセールスであればいつでも会って頂け、信頼関係の中でスムーズに商売をさせていただけるものが、新規開拓では営業員の身心が根本から鍛えられます。会って頂く難しさ、信用される難しさ、そして買って頂ける難しさに向き合わざるをえず、苦しみもがき、工夫を続けることで営業員は鍛えられます。ひとつの商売の大切さが身にしみてわかることが、営業員のお客様と向き合う基本中の基本です。ベテランの営業員になるとお客様から「会って下さい」と誘われるくらいに立場が逆転し、お客様に対するあるべき心の基本を忘れがちになります。心のアカを落とすためにも新規開拓の苦しさを味わい、基本的な心を保つ必要があります。新規開拓はそれ自体ではなかなか時間効率は低いのですが、それよりも営業員の心を基本に保たせることにより、お客様に対するホスピタリティーを保つ効果の方が絶大であり、案としても営業員全員が取り組まなければならないテーマです。

あるマーケティング会社の調べでは、何も新規開拓をしていかないとすると、取引先数は年間に20%減っていくそうです。実際には信用が高ければお客様からの紹介やブランド力によりお客様が増えていきますので、それ程の減少とはなりませんし、かえって増加していく会社も多いので、往々にして新規開拓の苦しさから遠ざかりがちになりますが、それではいけません。「お客様からの何気ない質問ですらとてもありがたいことなのだ」という営業の基本中の基本の心を保つためにも、新規開拓は必ず自分のスケジュールの中に組み込む必要があります。

成功する新規開拓「3つのステップ」

新規開拓を行うには一人だけで行うのではなく、チームで競争しながら弱い心を駆逐する工夫を加えると効果があがります。以下進め方を三つのステップに分けてご説明します。



(1)ステップ1 自社のファンたるゆえんを聞く

これはほとんどの会社が行っていないので、是非とも励行して下さい。お客様に対して「自社の他社にないすばらしい評価のポイント」を聞いて下さい。お客様は最もコストパフォーマンスの良い買い物をされていますので、他社と自社とを冷静に分析されており、自社の良さを良くわかっておられます。それを「もっと良いサービスが出来るように」と「お客様のため」にお聞きするのです。するとほとんど同じ回答が返ってきますので、驚かれると思います。そして自社のアピールポイントを気付いていないために、アプローチ方法を間違い、ムダな努力とピントのずれた活動をしていたことに気づかれると思います。アピールポイントがわかれば、次に「お金を払ってでも欲しい回避したい不都合」などを聞きます。これを知ることでお客様の行動パターンや何に気をつけて取引をしたら良いかがわかります。このステップでは、まずPRすべき自社の強みを再確認し、多くのお客様が困っておられる事を知ることで提案のツボを把握することを行います。



(2)ステップ2 横展開 同じような顧客はどこにいるか

次は、アプローチ先のリストアップとアプローチになります。営業は漁と同じです。漁ではまず同じような魚が多く集まっており、食い気がたっている時に一網打尽にしますが、営業も「お金を払ってもなんとかしたい」とニーズが顕在化している業績業態を見出し、そのニーズを満たすアプローチで商品サービスを進めます。営業員は一般的にはまずあまり見込のない小さなターゲット先からプローチして、慣れてきたら大きな所へ行こうとする人が多いのですが、それはダメです。心が負けているからです。営業成績が良い人は上から下に攻めていきます。最も使われており、魅力的なターゲットから攻めていくことで、市場全体の市場規模やニーズ、業界での地図がわかり営業員のレベルを向上させてくれます。分野、業界を定め、なぜそこに同じようなニーズの企業は存在するかの仮説をたてて実際のアプローチをかけます。仮説をたてることで質問に実がこもり、お客様の回答から多くの知識を得ることが出来ますし、実体をつかむことが出来ます。又、同業を上から攻めていくことで他社が知りたがっている内容の情報を得ることが出来ますので、アプローチ先から重宝がられます。営業はとにかく活動量と結果が連動します。いかに練り込んだターゲットに有効なアプローチをかけ続けるかで結果がついて来ます。



(3)ステップ3 マーケティング方法の開発

多くの企業にアプローチを行い、業界を理解し、お客様のニーズ等を把握しだしたら、最後にマーケティング構造作りをします。有効なターゲットを類型化し、「AIDMA」でプロセスを作ります。マーケティング構造は安定的にお客様を受注出来るしくみです。売る為には少しずつお客様の防衛本能を解いていかなければならないので、階段を作る必要があります。その有名な方法が「AIDMA」です。まずA(Attention)お客様に注意を引くアプローチ方法で自社を知ってもらいます。次にI(Interest)お客様に興味をもってもらう段階です。D(Desire)お客様に「欲しい」と要求してもらえるアプローチです。M(Memory)お客様に記憶にとどめておいてもらうアプローチです。お客様は、欲しいと思っても実際に必要となるまで購入して頂けません。従って、自社を思い出して頂けるようにくり返しの想起作業が必要です。そして最後がA(Action)実際の購入行動です。このように次々と段階を上げていく階段を作り、ツール・PR方法をまとめるのです。そして実際に活用しながら効果測定をして改善改良をくり返していきます。

新規開拓プロジェクトシートの活用法

・新規開拓をするには自社のドメインにあたるストライクの顧客を見出す必要がある。

・ステップ1で自社のファンのファンたる所以を聞いて、横展開を狙う。

・ステップ2はステップ1から仮説を立ててファンになってくれそうなニーズを持つ顧客をイメージしてアプローチする。アプローチ結果から攻略すべきドメインを探す。

・ステップ3はドメインが決まればターゲットへたどり着くまでの階段作りとツール、PR方法を設計し、新規開拓方法を標準化する。

新規改悪プロジェクトシート


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長山 宏

91年三優監査法人入社、97年三優BDOコンサルティング(株)取締役就任を経て現在に至る。京セラの稲盛名誉会長を師と仰ぎ、「社長が変われば全てが変わる」という標語のもと活動中。

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