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船井総研流 短期間で顧客を一気に開拓するアライアンス成功術 vol.003

株式会社船井総合研究所
チーフ経営コンサルタント
斉藤 芳宜

BtoB(企業間取引)では、アライアンス、つまりパートナー企業と協業して顧客開拓を行うことが有効だ。一番効果的なマーケティング手法は、すでに顧客を持っている企業にアプローチすることだからだ。

言い換えると、相手の顧客資産を活用させてもらうことが、顧客開拓を行う上で一番の肝となる。そうすることで、1社1社顧客を開拓するよりも、断然短期間で成果が出る。代理店チャネルの開拓や販売パートナーの開拓などは、まさにアライアンスの一つの手段である。

以下では、アライアンスをうまく活用することで、現状の戦力でも一気に売上を拡大する方法を2回に分けて紹介しよう。

アライアンスを成功へ導く四つの条件

アライアンスを成功させるためには、主に四つの条件がある。

一つめの条件は、共同提案できるソリューションを作ること。どちらか一方の商品をかついだり、かつがれたりする構図では、良い関係は続かない。お互いの商品を組み合わせることで、共同提案できるソリューション、つまり両者がWin-Winになるソリューション(Win-Winソリューション)を作ることができて初めて、本当の意味でのアライアンスが成立する。

二つめの条件は、新規顧客開拓を目的とすることである。お互いの会社が持つ既存客に対する取り組みの場合、既存客に対しての売上が少し上がっても、マーケットは広がらない。お互いの既存客に対するアプローチは確かに即効性があるが、それだけではアライアンスは長続きしない。既存客へのアプローチが一通り済んだらそれで終わりになってしまう。

アライアンスを成功させるためには、アライアンスの取り組みをお互いにとって新しいマーケットを開拓したり、新たな収益を生み出するものにする必要がある。イメージとしては、お互いの取り組みでマーケットを拡大させ、広がったマーケットのパイを山分けするシナリオが理想だ。

三つめの条件は、パートナー企業のリスクを最小限にすることである。アライアンスは、協業を持ちかけたほうがリスクを取らなければならない。アライアンス自体は対等だが、リスクはアライアンスを持ちかけるほうが多く取るべきだ。

つまり、パートナー企業は面倒な労力をかける必要がなく、最小限の投資で実施でき、限りなくリスクが低い提案を持ちかける。アライアンスによって新規顧客が開拓でき、しかもリスクがほとんどなければ、相手も申し出を断る理由がなくなる。

最後の条件は、アライアンスを成功させるために最も重要だ。自社のメリットよりもパートナー企業のメリット最優先で考えることである。言葉にすると、「なんだそんなことか」と思われるかもしれないが、意外とここまで考えてアライアンスを組んでいるケースは少ない。

自社のメリットや都合を先に考えてしまうと、アライアンスを組んでもシナジーが生まれない。「1+1=2」にさえならないことがある。そうならないためにも、まずはパートナー企業のメリットを先に考え、それを実現するために自社はどのような提案をすればよいのか考える必要がある。

ビジネスを成功させるポイントは、「先に与える」である。相手が先にメリットを得られるような形にすると、不思議とビジネスはうまく進んでいく。

失敗しない協業パートナーの選び方

では、協業パートナーにはどのような企業を選んだらよいのだろうか。こちらのポイントは三つある。

一つめのポイントは、同じ顧客層をターゲットとしながら、商品が競合しないパートナーを選ぶこと。協業するには、ターゲットが同じでないと都合が悪い。当たり前だが、この点は外せない。

二つめのポイントは、ターゲットとする顧客層と強いパイプを持っていること。ターゲットとする顧客層に対して、豊富な販売実績を持っていたり、強固な関係を持っている企業をパートナーに選ぶとよい。

三つめのポイントは、IT企業ではなく、異業種からパートナーを選ぶこと。IT業界の場合、協業パートナーというと同業を想定しがちだが、あえて異業種でのパートナー企業を検討してみるとよい。そう考えると、ターゲットとする顧客に出入りしている業者はすべて協業パートナー候補とみなせる。

アライアンスを成功させる「Win-Winソリューション」の作り方

協業パートナーを見つけることができたら、アライアンス成功の第1条件で挙げたように、Win-Winソリューションを作る。Win-Winソリューションは(1)フロントエンド・バックエンド型、(2)バンドル型、(3)OEM型の三つに大別できる(図1)。
 

図1. Win-Winソリューション3つの型

 

(1)フロントエンド・バックエンド型は、ターゲット顧客に対して、ツーステップで提案する場合に使う。自社とパートナー企業のどちらかの商品がフロントエンド商品もしくはバックエンド商品になる形態だ。フロントエンド商品は、「切り込み商品」とも呼ばれ、基本的に低価格で導入の敷居の低い商品を指す。バックエンド商品は、「本命商品」と呼ばれ、高単価・高収益商品を指すことが多い。


不況の今は、いきなり高単価・高収益商品を売るのは難しい。まずはフロントエンド商品を導入してもらい、バックエンド商品へ誘導するとよい。特に、クラウドのような低価格のサービスはフロントエンド商品に向いている。クラウド型サービスをフロントエンド商品にした提案は有効だろう。

(2)バンドル型は、自社の商品とパートナー企業の商品を連携させて、一つのソリューションとして提供する形態である。これを「システム的に統合したり、APIで連携したりすることでセット商品を作る」と言い換えることもできる。ターゲット顧客から見るとあたかも一つの商品に見えるようにする。

(3)OEM型は、自社の商品をパートナー企業のブランドで提供する形態である。ここまでくるとパートナー企業と相当がっぷり提携してアライアンスを実行することになり、最も強固なアライアンスの形態となる。

こうして、Win-Winソリューションが設定できたら、いよいよアライアンスの具体的な展開方法に進んでいく。これについては、次回紹介しよう。


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斉藤 芳宜

即時業績アップにつながるコンサルティングを得意とする、IT・ソフト開発会社専門コンサルタント。全国のIT企業経営者を組織化し、オンリーワン高収益企業の輩出を目指す勉強会「ITベンダー経営研究会」を主宰している。