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消費税増税を控えた今だからこそ求められる販売戦略とは?  ―企業が避けて通れない「消費税増税」対策講座 vol.009

あいわ税理士法人
マネージャー 税理士
佐々木 みちよ

『消費税増税分をどのようにして販売価格に転嫁していくのか』は、各事業者にとっては自社の生き残りに関わる超重要課題です。今回は価格転嫁について解説いたします。

タクシー・バスの運賃改訂に関する報道

報道によると、国土交通省は、消費税率が8%に引き上げられる予定の平成26年4月1日からタクシーやバスの運賃引上げを検討しており、その引上げ幅は2.86%にするとのことです。

消費税率引上げ分を販売価格に転嫁するためには、従来の税込販売価格が105円だったものは、税率引上げ後は税込108円に改訂する必要があります。105円のものが108円になりますので、税込販売価格が2.86%増加(108÷105≒1.0286)します。タクシーやバスの運賃は、この2.86%を上限に改訂がなされるということです。

ただし、運賃はもともと10円単位で設定されていることや、1円単位の料金設定は実務上困難であることから、10円単位での運賃改訂案が有力です。この場合、例えばバスの初乗り運賃を210円から220円に改訂すると引上げ幅が4.76%となり、目標とする引上げ幅である2.86%を超えることになります。この超過分は、定期券や回数券の代金引上げ幅を圧縮することで調整し、消費税率引上げに伴う事業者の増収分が全体として2.86%を超えないようにするとのことです。

「2.86%戦略」

この「2.86%戦略」は全事業者にあてはまる考え方です。

消費税率引上げに伴い、販売価格も全商品一斉に横並びで改訂しなければならないわけではありません。要は、全体で税率引上げ分の転嫁ができていれば良いわけです。税率引上げ分を販売価格に転嫁できなければその分は自社の利益の減少要因になりますが、転嫁する方法は全商品一律にする必要はありません。

販売価格を据え置きたい商品がある場合や、集客力のある商品を逆に値下げして集客したい場合、98円や980円など価格に値ごろ感を出したい場合などは、その分を付加価値の高い商品の価格設定で補填するなどの工夫が必要です。事業者には、付加価値の高い商品開発や市場競争に打ち勝つための価格戦略が、従来にも増して求められることになります。

予定されている消費税増税を間近に控えるこの時期は、増税分を販売価格に転嫁しつつも、市場競争力を維持または強化し、自社の企業イメージも保持できるような販売・経営戦略が求められている時期といえます。

価格転嫁例

[前提]
①甲社は、下記の商品を販売している。
・商品A:税抜価格5,000円 年間販売数量  10,000個
・商品B:税抜価格1,000円 年間販売数量  20,000個 
・商品C:税抜価格  500円  年間販売数量100,000個

②仕入は考慮しない。




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あいわ税理士法人
あいわ税理士法人
佐々木 みちよ

2002年藍和共同事務所(現あいわ税理士法人)入所。大手・中堅企業への組織再編に関するアドバイス業務や連結納税導入前後の税務コンサルティング業務に従事するほか、税務専門誌への寄稿や各種セミナー講師に従事。

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