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起業家を取り巻く社会環境とあるべき起業家の条件  ―「社会に期待されつづける経営」 vol.001

新日本有限責任監査法人
シニアパートナー 公認会計士
三浦 太

日本経済は、バブル経済崩壊、リーマンショックなどを経て、いまだ景気回復に至らず、慢性的な人口減少傾向やデフレ化にあり、更には世界各国の財政危機や景気低迷の影響もあり、業績不振または業績横ばいの会社が多く存在しています。

しかし、そのような中で、業績好調な会社も少なからず存在し、過去最高益を更新している素晴らしい会社もあります。同じ環境下でも、業績が大きく異なる要因の1つとして経営者の資質と企業マネジメント力の差が考えられ、成功した起業家や優れた上場会社の例などがその参考になります。

過去20年以上の間、数多くの経営者や会社と交流し、IPOをお手伝いし、上場後も助言を続けてきた中で、起業家の条件や永続する会社の共通点をまとめることを試みたいと思い、2012年4月に「社会に期待されつづける経営」(第一法規出版)という書籍を発刊しました。本コラムでは、その書籍をベースに起業家や永続する会社はどうあるべきかを説明していきます。

主に、継続的に業績の維持向上を図り、かつ不祥事を極力防ぐことによって、永続する会社になるための考え方をお話しします。そして、その考え方を実践する企業活動は、社会からの期待に応えることと両立するばかりか、双方の目的を効果的に達成するためにはむしろ不可欠の企業行動であることを数回にわたって説明していきます。

ベンチャーを輩出するダイナミズム

わが国は、人口減少やデフレ化にあり、需要は必然的に逓減傾向に進み、販売機会を見出すことが難しい状態のため、一般的には、会社経営は一筋縄ではいかない時代といえます。自社を「永続する会社」に育てたいと考える経営者の思いがあっても、日本は会社経営する環境が十分であるとはいえません。

一方、米国はリーマンショックにより同じく景気低迷局面にあるものの、資金、人材、ノウハウ等を手に入れやすい環境は過去から整備されてきており、世界を席巻する新興企業を次々に輩出するダイナミズムは今なお継続しています。世界有数の資本市場を抱えるウォール街、ベンチャーを育成する世界一のエコシステムが根付くシリコンバレーなどが起業家を育てやすい社会環境を育んでいます。

どんな社会環境であっても、起業家が自助努力をすることはもっとも大事なことであり、起業家が事業展開を進めることによって景気拡大に一役買うことに繋がると共に、新たな雇用が創出され、それが地域、国、社会の発展のための起爆剤になるのです。

しかし、米国のように新興企業が生まれてくるためには、起業家の自助努力だけに頼ってはダイナミズムが生まれにくいので、起業家が生まれやすい制度やインフラが充実することが必要不可欠といえ、日本においても起業家を支援する制度やインフラが整備され、短期間で事業展開を拡大できる社会環境を充実させることが望まれます。

起業家に必要な要素 ―姿勢とマインド―

さて、社会環境の良し悪しの課題は引き続き皆で考えるとして、個々の会社において成功した起業家には何か共通点があるのでしょうか。傾向としていえることとしては、「態度としてリスクや失敗を恐れず行動すること」、「姿勢としてチャンスに対して敏感に行動すること」などがあげられます。

そして、その行動自体は、決して無謀ではなく、失敗を恐れずに妥当な範囲でリスクを取る覚悟を持っていることも不可欠な要素といえます。 そして、起業家が事業を成功させるためには、事業への果てしない「情熱」、「熱意」、「執念」などのマインドを持ち続けることも重要であり、そのマインドの強さの程度が成功確率に影響します。

そのうえで、経営者が主体的に行動し、資金、人材、ノウハウなどの経営資源を効果的に確保し、事業展開で有効活用されることを徹底すべきです。その際に、経営者がすべてのスキルを担うことが難しい場合には、有能な者に参謀として経営参画してもらうことも不可欠といえます。 起業家にとって必要なもの

成功した起業家に共通する6つの素養

ところで、起業家の持つべき考え方と能力としては起業家としての態度や姿勢のほかに、どんな素養が必要でしょうか。第1回の最後に以下のとおり参考としてあげておきます。

私が所属する新日本有限責任監査法人は世界4大会計事務所の1つであるErnst&Youngのメンバーファームですが、グループをあげて世界中で起業家を支援する取り組みを行っています。そうした中で、成功した世界の起業家にインタビューやアンケートに協力いただき結果をまとめた「天性か育成か~起業家のDNAを解析する」(Ernst&Young発行冊子<日本語版>)というデータがあり、それを参考にわかりやすく私がまとめたものです。

それでは、以下に成功した起業家に共通する6つの要因を紹介します。

1.独自の事業観
・ぶれない独自の将来の方向性、ビジョン、事業観が起業家には必要
・事業観に基づき、情熱、熱意、執念を持って社内外に思いを語り、従業員をはじめ利害関係者の共感を得て、事業展開することが重要 


2.事業意欲、忍耐力、粘り強さ
・長期的な目標に向かって、めげずに一歩ずつ前進する強い覚悟
・他人からの心ない陰口や親しい人からの心配がたとえあったとしても、諦めず、途中で挫折しない精神力 


3.一貫した強い主張とチームワーク重視のバランス感覚
・独善ではなく、いい意味で自己主張が強いこと
・良いチームを組成できること


4.信念を貫く意志 
・起業家の信念をその後の経営ビジョンとし、企業の価値観を形成
・起業家の信念に沿った同じ価値観の人間を集めることによってと業務遂行力を向上 


5.市場創造力と突破力
・市場創造=大手会社が手掛けないニッチな事業や顧客ニーズが満たされていない分野を集中的に短期間で手掛けるなどの事業展開
・市場ニーズに沿って、創意工夫で即断即決していく突破力 


6.経営資源の手当て
・資金、人材、ノウハウなどを効率的に備えていく出会い、運を持つ能力
・起業する場所が経営資源の手当てに影響(好例としてシリコンバレー)

起業家の成功要因

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三浦 太

上場会社監査をはじめ、決算早期化、グループ管理、内部統制整備、IFRS導入、IT 統制、業務改善、事業計画・資本政策策定などの助言・支援業務を実施。大手金融 機関、大学などでの講演実績多数。