経営者の「知りたい」を解決するプロフェッショナルによるウェブメディア

  • TOP
  • BROコラム
  • 「売れる営業員」と「売れない営業員」 その違いは何だと思いますか?

私の営業体験 ~数値への意識が営業員を強くする~  ―会計士が行う営業研修 vol.006

株式会社カクシン
代表取締役 公認会計士 税理士 中小企業診断士
長山 宏

営業員は結果が全てです。売上をあげて利益を稼ぎ出せる営業員でなければ評価されませんし、価値もありません。「売ってなんぼ」の世界です。他の職種と異なり、営業員は一人一人の成績が明確に出ますので、ある意味では厳しい業務とも言えますが、やりがいがあります。結果さえ出せればスターになれます。しかし、結果が出なければ会社に居づらくなり、辞めざるをえなくなります。今回は営業員にとって最も大切な数値への意識を取り扱います。

売れる営業員と売れない営業員

売れる営業員は数値に対する強烈なこだわりを持っています。自分の目標を設定して何が何でもどの結果をだすべく我武者羅に行動します。営業成績はほぼ有効面談時間に比例しますので、いかに有力なターゲットに対して有効なアプローチをかけることが出来るかが直接結果につながりますので、全身全霊を傾けて有効なアプローチを工夫し、活動し結果を出すのです。

一方、売れない営業員は一般に数値に対する認識は低く、結果を出すためのアプローチではなく「自分は働いている」というアリバイ作りのアプローチに時間を使います。何に時間を使っているかを分析しますと、売れない営業員は提案書作成に時間を十分すぎるほどかけて作品を作り、有効面談時間を有効に作り出しておらず社内業務や間接業務に多くの時間を費やします。また、アプローチについても魅力の少ない「会ってはくれるが結果は期待出来ない」企業へのアプローチを行っています。従いマネジャーは何に時間を使っているか。どこに行ってどのような活動を行っているかを観察すると、一目瞭然でなぜ結果が出ないかがわかります。

「なぜそうなるのか」 営業員の生命力

売れる営業員は売れる行動をとり、売れない営業員は売れない行動をとっています。なぜそうなるかというと、売れる営業員の意識は成功イメージが満たされており、いかに断られても厳しい状態に追いつめられても希望を失わず前向きに考え、なんとしても結果を出す行動を取るのです。そのイメージの中に目標数値がしっかりと刻み込まれています。

一方、売れない営業員は意識で負けており、成功イメージではなく失敗イメージで満たされていますので言い訳をするための行動をとるのです。そのイメージの中心には、数値はほどんと刻み込まれていません。

この両者の違いは失敗の恐怖から導かれる防衛本能を「なんとしても成功したい、結果を出したい。この目標はクリアーするぞ」という願望が上回るかどうかなのです。上回ればプラス発想になり、下回ればマイナス発想になります。営業員にとってはこの生命力にも通ずる結果に対する強いこだわりと成功イメージを持てるかが重要です。

数値意識の厳しさ

数値へのこだわりが重要なことはおわかり頂けたかと思いますが、一方で難しさがあります。お客様は売りつけられたくないので売り込まれると「間に合っています」とひいてしまうからです。つまり数値へのこだわりは直接的な行動につなげてはならず、自分の結果をだしたいという願望を抑えて「お客様のために何が良いか」という発想でツメをかくした行動を取らなければならないのです。経営者の集まりに参加してよく観察していますと「売らんがかな」丸出しの人が必死に営業活動を行っていますが、誰からも相手にされていません。それではダメなのです。

ひとまず自分の願望は抑え、お客様のための行動をとり、具体的なニーズが顕在化するまでじっと待つことが必要です。私の知人で保険の凄腕の営業員の人がいます。彼は某保険会社で13回も社長賞を取られました。彼のモットーは「保険の話はしない。相手の役にいかに立つか」でした。見習いたいものです。

数値への意識向上シートの活用法

それではシートの項目に従ってステップ1からステップ3までの項目を整理し、数値意識を高めましょう。

(1)ステップ1 あなたのコスト

あなたのコストを明確にします。「時は金なり」と言います。時間をいかに使うかが重要です。自分のコストを知り、いかに少ないコストでより成果をあげるかを考えるためにコストを割り出して強く認識します。まず自らの給与と会社が負担すべき自分を雇う為のコストを割り出します。通常は自分の給与の1.3倍が直接コストであり、製造業であれば営業員は一般に間接人員の人件費を稼がなければなりませんので、給与の3倍程度になります。

つまり営業員は自分の給与の3倍稼げて(売上ではなく利益)やっと収支とんとんになるのです。次に、仮に給与の3倍を自らの最低限稼ぎ出すべき数値=コストと捉えますと、その数値を基本として、一時間のコスト、一ヶ月のコストを計算します。この数値の使い方は「自分のコストが一時間X円なので、営業に関係ない時間を使い、それだけコストを無駄に使ったと認識するように習慣づけることで、数値に対する意識を高く保つことが出来るのです。又、この意識が定着しますと、現れない営業員のように、努力しても効果が期待できないターゲットへのアプローチはしなくなります。

(2)ステップ2 あなたが稼ぐ額

当然、収支トントンではあなたの存在価値がありませんので、稼ぐべき付加価値を明確にして目標設定し、目標管理を行います。この場合、付加価値と売上と両方を意識して、1時間あたりの数値と一ヶ月あたりの数値を設定します。一般的には粗利益率が一定ですので、目標は売上高で設定しますが、重要なのは付加価値(収益)ですので、売上高から付加価値への矯正は常に行う必要があります。

(3)ステップ3 あなたの仕事

ステップ1とステップ2で目標が設定されたら、行うべき仕事を明確にします。数値に結びつくべき有効な業務をいかに行うかを十分に検討し、時間を多く使います。いかに有効面談時間の質と量を高めるかが、この作業になります。

そのためには無駄な時間を使ってはいけませんので、あなたがやってはいけない仕事、止めるべき仕事を洗い出し、思い切って止めましょう。何をする場合でも同じですが、まず無駄なものを止める。捨てる事が最初に行うべきことです。そして、時間を作り出してから止めるべき事を行いましょう。時間の使い方が上手い人は捨てる事をいといません。思い切って無駄を捨て、十分な時間を作り出す訓練をしましょう。タイムマネジメントのカギはいかに無駄を省くかにかかっていると言っても過言ではありません。よく考えてみますと、いらないものだらけです。最悪の状態をイメージして時間の使い方を工夫し、結果を出される事を期待します。



このエントリーをはてなブックマークに追加

このコラムは役に立ちましたか?

読み込み中 ... 読み込み中 ...
株式会社カクシン
株式会社カクシン
長山 宏

91年三優監査法人入社、97年三優BDOコンサルティング(株)取締役就任を経て現在に至る。京セラの稲盛名誉会長を師と仰ぎ、「社長が変われば全てが変わる」という標語のもと活動中。

バックナンバー