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営業戦略を展開!新規開拓と既存顧客の対応「取引先に対するメンテナンスを行わないと、年間20%の顧客は離れていく」   ―会計士が行う営業研修 vol.008

株式会社カクシン
代表取締役 公認会計士 税理士 中小企業診断士
長山 宏

今回は営業戦略について考えてみましょう。営業戦略で最も重要なのは商品-市場を決めることであり、事業領域であるドメインの選定です。このテーマはそもそも、どのような事業を行うかという経営の根幹に当たる部分ですので、今回は取り扱いません。今回はドメインを所与として、その中でいかに売上を増やすかについて、第一に既存と新規をどのように考えるか、第二に既存の中でも顧客を3タイプに分けて、それぞれのカテゴリーに対して、どのような考え方で取り組むかについて考えてみます。

既存と新規に関する戦略

企業が特に取引先に対するメンテナンスを行わないとすると、年間20%の顧客は離れていくという調査があります。常に企業は競争にさらされているわけですから、うかうかしていると競合に負けてしまうわけです。競合も常に努力し、革新し、事業拡大を図っていますので、負けずに自社の特徴をアピールしながら顧客をグリップして自社のファンに仕立て上げていかなければ、折角獲得した顧客を維持する事は出来ません。ですから、まず従来顧客の維持拡大のための戦略と、新規拡大のための戦略が必要となります。

(1)維持拡大の戦略

既存顧客を維持拡大するにはまず、前提としてやるべき事は手抜きをせずにきっちりと行うことが大切です。「当り前のことを当たり前にやる」実はこれが一番難しいのですが、前提として押さえなければならないポイントです。

次に、自社の特徴を出して競合との差別化を図る戦略で維持、拡大を図ることがテーマとしてあげられます。私は最近ほとんどの会社が「もしもの時」に我社を思い出して頼りに思い、我社に連絡したくなるための取り組みをしていないことに気づきました。中小企業では、開発機能が不十分で、商品開発に当たる機能は営業が併用しています。しかし、営業は売上を上げるノルマへの意識が強い為に、顧客目線が弱くなりがちで顧客とのグリップが弱くなりがちなのです。「困った時に自社を思い出してもらえる信頼関係作り」を戦略として、維持・拡大の為に考慮されてはいかがでしょうか。対応が良ければ維持どころか口コミで広がり、拡大すら見込めます。

(2)新規

新規開拓は大切です。新規を行うことで売上高は確実に向上します。新規開拓には大きなエネルギーが必要ですので、そのエネルギーの充実が巡り巡って全体の売上向上につながるのだと思います。新規は労多くして、なかなか成果が出ませんので、営業員は何らかの理由をつけて敬遠しがちです。それでは新規に繋がりませんので、キャンペーンを行い、全員でテーマと目標を決めて、一定の期間は新規に集中します。週1回ある期間(最低3ヶ月から半年程度)は新規を必ず行い、ゲーム感覚を持たせながらキャンペーンを行うと良いでしょう。私共のお客様に対しては各種賞を用意してゲーム感覚で面白おかしく新規に取り組んで頂いております。会社の取り組みとして表彰しながら盛り上げる事で、流れが変わります。この際、ターゲットは業界業態など、対象企業のリストの上位から順番に未取引先を攻めていくことで、現状が良く分かりますし、自社の取り組むべき課題が良く見えてきます。

既存事業における取組みについて

(1)重要顧客

営業の世界では、重要性に関するパレートの法則が成り立ちます。つまり28の原則と言われるものです。20%の顧客で売り上げ80%を構成するという法則です。ここでの重要顧客は現在、自社の顧客のうちで重要性が高く、売り上げの基礎の部分を作り出している顧客を指します。重要顧客についてはもしも、そことの取引が解消すると大きな打撃になるので失わない為の守りの戦略を立案します。お客様の要求に手抜きをせずに応えて、ミスをせず、他社への変更のきっかけを作らせないことが中心的課題になると思います。

(2)重点顧客

重点顧客は魅力的な顧客でありながら十分なシェアが取れていない顧客で、重点的に攻めて顧客における自社のインナーシェアを高めたい重点先です。重点顧客の選定には現状分析が必要となります。

1.購入量が多く、魅力的にも関わらず、自社がなぜ低いシェアに甘んじざるを得ていないか

2.どうすれば自社のシェアを増やせるか

この2つの検討が必要です。

競合企業と自社とのサービス内容の違いや、顧客内での評価を調べた上で対策を練ります。営業戦略は、その検討内容の結果から導き出されてくるのです。一般的には、キャンペーンを企画し自社を印象付けると共に、競合と比較して自社の優位性をアピールして、取引関係の深耕を狙います。

(3)維持顧客(手抜きの方法)

維持顧客は重要性の低い顧客で、いくら努力したところで、増加が見込めない顧客です。折角注文を下さるのであれば、関係を切る必要はありませんが、取り立てて訪問したり密に連絡を取る必要は無く、取引関係が維持できれば良く、出来る限り時間をかけずに関係性を維持しながら取引関係を続けていく顧客です。この先については手抜きの方法を考えます。しかし、手抜きをすると敏感に顧客は感じて、自社に対する想いが冷めてしましますので注意が必要です。一軒一軒の具体的な案件対応について一切の手抜きがあってはならないことは当然のことです。

営業戦略シートの書き方

シートに具体的な内容を記述するには、顧客との取引関係の実態を調べ、その内容を基に、シートを埋めます。「顧客名」、「戦略」、「作るべき数値」を既存の顧客については記述します。現状とその問題点、課題を考慮しながら戦略を見出して下さい。打つ手は無限です。自由に発想してみて下さい。ちなみに一般的には、グリップを強くする方策を打ち、重要顧客に対しては重要施策(キャンペーン)を打ち、維持顧客には定期的な情報提供を会社として安定的に行ったりします。

新規開拓については「キャンペーン」、「ターゲット業界、企業」についての攻め口を決めて、キャンペーンについては「期間」と「ほうび」、「ターゲット業界、企業」については具体名、戦略を記入して下さい。そして、それぞれ「作るべき数値」を上げると共に、その数値を上げるための具体策を検討していくことになります。

戦略は重要です。メリハリのある戦略を立案し、目的目標を達成して頂く為にこのシートをご活用頂ければ幸です。




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長山 宏

91年三優監査法人入社、97年三優BDOコンサルティング(株)取締役就任を経て現在に至る。京セラの稲盛名誉会長を師と仰ぎ、「社長が変われば全てが変わる」という標語のもと活動中。

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