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粗利を求めて一直線 「販売管理でもうひと稼ぎ」  ―企業には第2の利益がある vol.003

株式会社プロネット
代表取締役 公認会計士
高橋 廣司

世界経済低迷の昨今、企業が継続的な成長をするためには企業体質の強化は不可欠であり、同時に昨今の環境下にあるからこそ、(危機感を共に持つ)従業員等の関係者の協力も得やすく、「属人的経営」から「組織的経営」への転換による企業体質強化を準備・実践する絶好のチャンスであります。

今回も、前回のコラムにひき続き販売管理を例にして、販売活動の「受注サイクル」でいかに『第2の利益』を獲得するかをお話したいと思います。

間接費も原価に入れて考える

「受注サイクル」で重要なのは、粗利(=売上-売上原価(直接費+間接費))を部門別、製品別、得意先別、営業担当者別で分析することです。そのためには適切な原価計算制度が構築されており、製品1単位当たりの原価がわかる必要があります。

ここで注意すべきは製品1単位当たりの原価が直接費と間接費を含めた原価として設定されていることです。直接費とは製品・部門等に直接関連づけられる費用であり、間接費は関連づけられない費用のことです。(よって厳密には変動費・固定費の分類とは似て非なるもの)

最終的には間接費を含めたコストを回収するため、管理会計上も間接費を擬似的に製品・部門等に関連づけるための配賦計算が必要になりますが、この配賦計算をどこまで厳密に行うかは会社の規模等、コストベネフィットを考慮し決定することになります。

機会利益の獲得は、きめ細かな目標設定が必要

「受注サイクル」での粗利管理は大まかに「事前」と「事後」の粗利統制の二つに分類します。

「事前」の粗利統制とは、事業計画・予算と連動して事前に製品別・得意先別・ルート別等に販売単価のガイドラインを定めておくことです。営業担当者の行動原理としては、契約を取れるように(売上高予算達成のため)できるだけ他社に負けないような低価格の見積りを出そうとします(機会利益の喪失)。それを防ぐために、売上高だけではなく営業担当者別の粗利管理も必要であります。

ただ、端的に粗利管理と言っても、営業の管理者が『最低でも15パーセントの粗利は取るように』と営業担当者に単純に指示すれば、営業担当者の行動原理としては売上高予算達成のために15パーセントというハードルに極めて近い粗利を設定し、その結果として本来得られたはずの利益(粗利)が失われることもよくあります。従って営業会議等ではきめ細かな製品別等の粗利の目標設定・指示をすることで「機会利益の獲得」を目指す必要があるのです。

一方、「事後」の粗利統制とは、(製品別・得意先別・ルート別等の)事前の粗利統制の結果を売上・粗利等の損益データを中心に分析し、その後の営業活動にフィードバックすることです。重要なことは、営業担当者別に粗利の分析をして達成状況を確認することであります。

これは事前の粗利統制と対照になっており、事前の粗利統制の仕上げであると同時に、次期間の事前の粗利統制の下準備ともなるものです。また、この観点からは営業担当者を評価する場合に、評価基準として売上高だけではなく粗利にも重点を置くべきと考えられます。

ルール・目標を上から下に押し付けるだけでなく、目標達成へのインセンティブを付与することも極めて重要です。(その他、営業見込み情報の管理と失注管理は「受注サイクル」にも存在しますが、前回のコラムの「新規開拓サイクル」で説明しておりますので、今回は詳細な記述は省略いたします。)

以上で、販売管理を例にとり『第2の利益』の考え方について簡単ながら説明をさせていただきました。前回の「新規開拓サイクル」と今回の「受注サイクル」を見るだけでも、『第2の利益』の源泉が企業活動の様々なサイクルに眠っていることがご理解いただけたと思います。

次回は、『第2の利益』を獲得するためのトップマネジメントのPDCAサイクルのあるべき形をお話したいと思います。

 

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高橋 廣司

中央監査法人、新日本有限責任監査法人で公認会計士として株式公開の支援業務を中心に活動し、20社以上の上場準備支援、1500社以上のショートレビューを経験。2011年株式会社プロネットを設立。現在は代表取締役を務め、様々な分野のプロフェッショナルを結集して企業をサポートしている。