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舵を取る人間はこれを知っているべきである 「IPO準備の進め方」(前編)  ―たかがIPO、されどIPO vol.004

株式会社サクセスサポート
代表取締役
堀之内 泰治

前回コラムでは、IPO全体の作業量と推進体制作りについて説明しましたが、いよいよIPO準備について説明します。

「IPOの準備は何から手を付けたらいいのか?」、あるいは「どのように進めていくことが大事なのか?」皆さんの素朴な疑問かもしれません。やみくもに進めたのでは効率的な準備が進みません。また、定期的に進捗確認を行っていなければ、統一的な準備ができません。ポイントを抑えておくことも重要です。

今回から2回にわたって、「IPO準備の着手」、そして、「IPO準備のポイント」について、説明を行います。まずはIPO準備の着手にあたっての仕組みづくりについて説明します。

IPO準備の着手と上場審査の目的

個別の説明の前に、審査の目的について説明します。東京証券取引所の定める「有価証券上場規程 第207条」に「上場審査」という条項が規定されています。所謂、「実質基準」と呼ばれている規定ですが、全ての審査(言い換えれば準備)は以下の5項目に集約されます。


(上場審査)
第207条  本則市場への新規上場申請が行われた株券等の上場審査は、新規上場申請者及びその企業グループに関する次の各号に掲げる事項について行うものとする。

(1)企業の継続性及び収益性
継続的に事業を営み、かつ、安定的な収益基盤を有していること。

(2)企業経営の健全性
事業を公正かつ忠実に遂行していること。

(3)企業のコーポレート・ガバナンス及び内部管理体制の有効性
コーポレート・ガバナンス及び内部管理体制が適切に整備され、機能していること。

(4)企業内容等の開示の適正性
企業内容等の開示を適正に行うことができる状況にあること。

(5)その他公益又は投資者保護の観点から当取引所が必要と認める事項

 

IPO準備の最初の段階で証券会社等から説明のある事項ですが、概念論的な内容なので、個別具体的事項に比べて分かりにくいかもしれません。しかしながら、取引所が「上場会社として必要不可欠な事項」として明確に列挙している内容であり、経営者やIPO責任者は、しっかりと受け止めて準備の基本として理解をしておく必要があります。

上記の規定に関する詳細は、「上場審査等に関するガイドライン」として開示されています。

http://tse-gr.info/rule/JPH19TE8302061101002.html

IPO準備への着手と推進の仕組み作り

IPOに関わらず、どの業務においても同じことがいえると思いますが、基本は以下の3点です。
そして、「IPO責任者がコントローラーとして、重要な役割を果たす」ことになります。この仕組み作りが着手にあたって重要となります。

 

  1.やるべきことを知る。

  2.実施スケジュールを立てる。

  3.進捗管理を適切に行い、対応する。

 

これら3点を3つの章に分けて説明します。

1.やるべきことを知る。

通常、IPOに向けて、監査法人を選任している場合は、会計士の先生が短期調査を行って「ショートレビュー(短期調査報告書)」を提出します。ショートレビューに導入すべき制度の内容や改善事項等が列挙されています。選任されていない場合は、次回のコラムの各項目を参考にしてください。

具体的には、以下の手順で進めます。

1-1.整備項目の区分

  (a)ショートレビューには、経営者(オーナー)に関するプライベートな事項もかなり含んでいますので、
    経営者に関する事項と会社に関する事項に区分します。

  (b)会社に関する事項を単独の部署で帰結する事項か、複数の部署間で調整が必要な事項であるかを
    判断して区分します。

  (c)項目(プロジェクト)毎に整備の責任者を決定します。

1-2.重要性と優先順位の決定

各項目に対して経営者とIPO責任者は重要性と優先順位の決定を行い、プロジェクト責任者に指示します。

2.実施スケジュールを立案する。

ショートレビューの中に大枠の準備スケジュールが提示されていると思います。あるいは、主幹事証券会社(公開引受部門)から提出されます。未選任の場合は、次回のコラムの各項目を参考にしてください。

スケジュール作成の重要なポイントは、監査法人や証券会社から提出されるスケジュールは、全体のスケジュール感を把握することを目的としており、スケジュール管理として利用するにはあまり有効ではありません。大枠にしたがって、会社でプロジェクト毎に「3ヶ月程度のスケジュール」にブレークダウンする必要があります。IPO責任者とプロジェクト責任者が内容や作業量を踏まえて決定します。

スケジュールが策定できた場合は、IPO責任者が証券会社や監査法人の方に問題ないか確認を行います。

3.進捗管理を適切に行い、対応する。

IPO責任者は、整備の進捗確認を行い、遅れている場合の原因・問題点の把握を行って、対応の指示を行います。この部分が疎かになると、上場準備は遅れがちになります。

経営者は、IPO準備が遅れている場合は、迅速な対応の指示とバックアップを行うことが重要です。また、経営者の判断の遅れが準備の遅れにつながっていることが多くあります(遅れている理由にされている場合も多くあるのですが。)。

経営者自身も「判断に迷うことがあっても、その判断が企業成長に役立つことになる」と信じて対応する必要があります。

また、証券会社や監査法人の担当者を含めて、定期的(1ヶ月毎)にIPOの進捗会議を開催し、状況確認や問題点への対応を行なうことが重要となります。

個別具体的事項に関して質問がありましたら、t.hori@ss-ipo.co.jpへ遠慮なくお問合せください。

次回は、引続いて「IPO準備の進め方」(後編)として、「IPO準備のポイント」について、説明を行います。

 

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堀之内 泰治

1999年日興證券㈱退職、IPOコンサルティング開業。独立後、14社のIPO・POの成功をサポート。前職の証券会社の公開引受部の時代を含め、約20年間IPOの世界で活躍中。