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  • 異業種の経営でも目覚しい成果を出せる、優れた経営者に共通する「抽象化⇔具象化」の見方

事例を活かすためのものの見方  ―強みを活かして成長する企業 お客様の記憶に残る差別化戦略 vol.001

株式会社オーナーズブレイン
代表取締役 公認会計士 税理士
小泉 大輔

「デフレ」「少子高齢化の加速」「価格競争の激化」、厳しい言葉が渦巻まく日本。世界の主要60か国の20年の経済成長率を調べてみると、米国は、2.5倍、中国は20倍。日本を除くすべての国が目覚ましい成長を遂げています。

戦後から現在までの日本の経済成長を振り返ると、1956年~73年までの約9%、73年~90年までの約4%、91年以降の1%~2%という大きく3つの期間に分けられることに気付きます。この日本の20年は、上りのエスカレーターから一転、下りのエスカレーターの時代と表現できます。経営者の方々からは、一生懸命に経営しても、下りのエスカレーターを駆け上がっているかのように現状維持がやっと、ちょっとでも気を抜くと、どんどん下がっていってしまうという声をよく耳にします。

しかし、そのような厳しい環境下でも、伸びている企業があるのも事実です。そのような会社から気付かされるのは、お客様の記憶に残るような他社との明確な差別化を明らかにしているということ。 しかも、どんな業種、業界でも、差別化することはできるということ。

モノの見方

こちらの絵は何に見えますか?
ご存じの方も多いかと思いますが、これは、ルビンの壺と呼ばれるトリックアートです。一見すると、単なる壺ですが、ちょっと視点を変えると、2人の人が向き合っているように見えます。目の前にあるのは、一つの絵でも、見方や解釈を変えるだけで、全く別のものに見えます。

これは、ビジネスにおいても言えることです。今までの枠を外して、ちょっと見方を変えて、うまくいっている事例を見ることで、智恵が沸いてくるはずです。それには、見る視点、意識を変え、感度を高めることが必要だと思います。 本稿では、お客様の期待を上回る価値を提供する、オンリーワンを目指す企業に目を向け、不況期に生き抜くためのヒントを見つけてみたいと思います。

自社に活かすための事例の見方

これから、さまざまな実在の企業事例を紹介していきますが、最終的には事例から学び、その学びを自社に活かして頂くことが目的です。重要なのは知って終わりにせず、自社で活かすこと。今回はそのための事例の見方のポイントをお話したいと思います。

もちろん、ここで採り上げるのは、あくまでも“事例”です。これを、顧客も組織も商材も異なる自社で活かすためには、一度、どの会社にも当てはまる抽象的な概念に置き換える必要があります。

その上で、その抽象的概念を自社固有の顧客、組織、商材に当てはまるようアレンジしていくのです。感度を上げて、この抽象化⇔具象化の変換を意識することが事例を活かすために重要となる見方のポイントです。

優れた経営者に共通する「抽象化⇔具象化」の見方

ルイス・ガースナー氏(ナビスコ⇒IBM)、原田泳幸氏((米)アップル⇒日本マクドナルド)などが、異業種の経営においても成果を上げることができるのはなぜでしょうか。

(米)アップル社の副社長を務めた原田泳幸氏が、日本マクドナルドホールディングスのトップにヘッドハントされ、「マックからマックへ」と騒がれたのは今から8年前のことです。皆さんもご存じのとおり原田氏は、当時経営に行き詰まっていた日本マクドナルドホールディングスの既存店売上高を就任当時から現在まで、8期連続で増加させ続けています。コンピューターとハンバーガーの全く売り方が異なる異業種でも経営できるのには理由があるはずです。その1つがまさにこの「抽象化⇔具象化」の考え方ではないでしょうか。

つまり、業種が異なれば方法こそ異なりますが、やるべきことの本質は同じだということです。先ほどの例で言えば、体重を落とすには摂取カロリー<消費カロリーが実現できれば方法はジョギングでも食事制限でも成果は出るということです。原田氏はよく「基本に立ち返れ」ということをおっしゃいますが、この基本こそがどの業種にも共通する抽象的概念なのだと思います。

パーキング・ロットという発想法

発想法、思考法の一つの手法で、パーキング・ロットという考え方があります。 パーキング・ロットとは、駐車場。今、判断がつかないもの、処理ができないものを一時的に保管する一種のフォルダーです。これからご紹介する事例からすぐに閃かなくとも、一度このパーキング・ロットという情報のストックの入れておくことをお勧めします。時々、パーキング・ロットを覗いてみた時に、いつか、何かのご縁でスパークが起こるかもしれません。それが、知識が知恵になる時です。

抽象化、具体化は、見方、感度を上げるためのトレーニングです。 次回以降は新聞、雑誌、TVでも取り上げられる馴染みがある企業を題材にして、インターネットなどから比較的簡単に収集できる情報を基に事例から学んでいきたいと思います。

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小泉 大輔

朝日監査法人(現あずさ監査法人)、新日本監査法人を経て現職。 株式公開支援、M&A、企業価値算定をはじめ、会計・財務のコンサルティングを主たる業とするほか、数多くのセミナー・講演活動を行っている。