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MBO・EBOを成功させるためにクリアすべき重要課題とは何か?  ―企業には第2の利益がある vol.007

株式会社プロネット
代表取締役 公認会計士
高橋 廣司

前回コラムでは経営承継のストーリーについて概説させていただきました。今回はそのうちの、会社を役員や従業員に承継するストーリーについて具体的にお話したいと思います。

MBO(Management Buy-Out) と EBO(Employee Buy-Out)

会社を役員や社員に売却する経営承継ストーリーとしてMBO・EBOという手法が挙げられます。MBO(Management Buy-Out)とは一般に、役員や事業部門のトップが会社の株式を獲得しオーナー経営者となることで、特にそれが従業員による場合EBO(Employee Buy-Out)と呼ぶこともあります。

どちらにしてもオーナーは、役員や従業員を後継者と見据えて、基本的には経営権を手放し、株式売却により資金化ができます。株式売却という点ではM&A等と同じですが、異なる点は、その売却先が見ず知らずの第三者ではなく、既知の役員や従業員であることです。

経営者は役員や従業員の仕事ぶりを知っているため、経営者(後継者)としての資質・能力の見極めはでき、その後継者は仕事を通じて経営者の理念・ビジョンが叩きこまれているため、経営の一体性・継続性が見込めます。取引先や金融機関も受け入れやすいと言えるでしょう。

この様なメリットがある一方で、この承継ストーリーでは後継者候補がいかに株式取得資金を調達できるかに焦点が当てられます。一般的には、金融機関から資金を借りることになりますが、当該資金調達の可否にあたっては、承継する会社が将来に向かい、継続的に成長しキャッシュフローを生み出すことができるか(安定性・成長性)が最大のポイントになります。

その意味では、経営者が交代しても継続的に成長が見込める会社とするために、従来の類まれなる経営者のリーダーシップに依存した属人的経営から、企業体質を強化し『第2の利益』を獲得する組織的経営スタイルに早く移行しておくべきなのです。

経営承継ストーリーを成功させるためにクリアすべき重要課題

上で述べた後継者の株式取得資金の調達は大きなポイントではありますが、この経営承継ストーリーを成功させるためには、以下のとおり(主要な点だけでも)多岐にわたる検討課題をクリアする必要があります。

1.経営権の委譲をどうするか

株式の評価額がそれほど高くなく、後継者の資金調達が上手くいけば一度にすべての経営権を委譲することができます。しかし株式の評価額が高いなどの理由で資金調達が難しい場合は、株式の売却時期・売却金額を調整したりすることが必要になります。後継者である役員や従業員がすべての株式を取得するのではなく、ファンド等が一部買い取るケースも出てきます。当然に経営にも口を出してくると考えられますので、役員や従業員と経営方針をめぐっての対立も考えられます。

2.個人の債務保証の引き継ぎをどうするか

後継者は新たな経営者として会社の銀行借り入れに対する個人保証を求められることが想定されます。また先代の経営者が個人の不動産を銀行借入の担保に提供している場合等は、経営承継にあたり事前に整理・解決をしておくことが数多くあります。

3.経営者・後継者共に経営承継への準備は万全か

役員や従業員は赤の他人ではありません。しかし、やはり他人であることにも違いはないのです。前経営者として口を挟みたくなる気持ちは分かりますが、かえって上手くいかないでしょう。なので事前に経営者教育を十分に行うだけではなく、この点からも属人的経営から組織的経営への移行は重要であると言えるでしょう。

後継者不足・不在の現状の中、親族内承継の次に身近であり、後継者としての資質を見極めやすい点等から、今後もこの経営承継ストーリーを指向する経営者はますます増えてゆくと考えられます。私の会社にも知人・金融機関等から相談が増えております。

今回は、役員・従業員への承継ストーリーとしてMBO・EBOの手法について、そのメリット・デメリット、主な検討課題について解説いたしました。次回は第三者への承継ストーリーとしてM&Aについてお話したいと思います。

 

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高橋 廣司

中央監査法人、新日本有限責任監査法人で公認会計士として株式公開の支援業務を中心に活動し、20社以上の上場準備支援、1500社以上のショートレビューを経験。2011年株式会社プロネットを設立。現在は代表取締役を務め、様々な分野のプロフェッショナルを結集して企業をサポートしている。