経営者の「知りたい」を解決するプロフェッショナルによるウェブメディア

  • TOP
  • BROコラム
  • 若手起業家が語る"生意気"な想い 起業して痛感した6つのこと

「やりたいことをやれ」「適性を考えろ」「世界を変えろ」・・・ 若手起業家が語る”生意気”な想い、起業して痛感した6つのこと  ―学術研究にITをはこぶ!ベンチャー企業の挑戦 vol.004 

株式会社アクセライト
専務取締役
大下 知樹

前回までで、起業のひとつのモデルケースと、弊社の試みを通じて考える大学・ITのあり方をご紹介してきました。
今回のシリーズでは企業のスタートアップを一つのテーマとしています。そこで、今回は最終回ということで、起業を通じて初めて気付いたことをお伝えしたいと思います。

先に断っておきますが、以下の内容は決して起業のススメということではありません。
ご紹介したいのは、社会人一般に通じるであろうと考えている気づきであり、起業する以前に私自身が気づけていれば有りがたかったと思っているような気づきです。

人と人とのつながりに生かされている

私はもともとソフトウェアの開発者をしていました。フリーランスの時代も含め、基本的には業務の中心は設計及び開発でした。
しかし起業を機に、営業、顧客対応、開発、そして経理、総務などの管理業務と、一通りの会社業務を自分で行うようになりました。そうして社外でも社内でも多くの人と接するようになり、仕事というのは人とのつながりの中で初めて成立するものであるということを強く実感するようになりました。
仕事を頂くのもご縁のある方々からですし、一緒にお仕事をさせて頂く中で、経営戦略やマーケティングあるいは技術に関する情報を頂くことも多いです。

人と人とのつながりがとても大切なものであることは、キャリアのある人にとっては当たり前のことかもしれませんが、むしろあまり実感の湧かない、社会人経験の浅い人にこそ、このことはよく知っておいてもらいたいことです。
何故なら、若い世代の人達こそが、人脈を広げるのにうってつけの環境にいるからです。若くて体力があり、独身であれば時間も比較的自由に使えます。

どんな人脈を築くかは個々人のパーソナリティーに自然的に規定されることでしょう。10人いれば10通りの人脈が存在します。
ただ結果としてどのような人脈になるにせよ、信頼できる人、尊敬できる人を頼って人脈を広げていけば、仕事もプライベートも充実したものになると確信しています。
そして、人に頼るだけではなく、一度頼られることがあれば、全力で応え、裏切らないようにする。

あまりにも遅い気づきでお恥ずかしい話ですが、今はそのような気持ちを大切にし、日々の営業に努めています。私自身も、そして株式会社アクセライトという会社も、多くの方々に支えられて成長してきました。それが全く飾るところのない今の実感です。

やってみたいと思ったことは実行してみる

そして起業をしてみてもう一つ強く感じるのは、やってみたいと思ったことは実行してみるべきであるということです。

―やってみないと何も変わらない

ということだけなら、それこそ「やってみなくても」分かることですが、

―やってみると、当初では予想のできなかった様々なドラマが生じる(悲劇も含めて) 

ということは、起業をしてみて初めて得た実感です。

例えば、現在弊社では大学の調査研究サポートを業務の柱のひとつとしていますが、これは起業当時には全く想定していなかったことです。しかし、もともとそこにはアウトソーシングへのニーズが存在しており、タイミングよく、それを委託できる企業がマッチングしたわけです。
そしてお付き合いのある方々との出会いが連鎖し、ビジネスの幅や深さがドラスティックに広がりゆくのを折に触れて感じます。

逆に、やってみたいと思い実行に移したビジネスで手痛い目にあったことも何回かあります。それでも、失敗の原因をしっかり分析できれば、それはそれで立派な企業ノウハウないしは個人的なノウハウになると信じるようにしています。

無意味に「何かをやらなくては」という切迫に駆られる必要はありませんが、何かやりたいことがあるのなら、やってみればいい。ただそれだけのことであって、成功や失敗は後からついてくるものなのではないかと考えています。
考え方次第では、「やってみた時点で成功である」という捉え方も可能かもしれません。

でも適性のあることをやろう ~ときには諦めも肝心~

人生は長いようで短いと言われることも、短いようで長いと言われることもありますが、仮にひとつの仕事を見つけ生業とするには、それなりの長さがあります。仕事は苦痛に満ちたものではなく、毎日が楽しく創造的で、これが自分のライフワークであると感じるものにしたいものです。

ではどんな仕事が自分のライフワークになるのか。
それは実は、やりたいことではなく、適性のあることなのではないかと考えています。

現代の日本では、古今東西を通じてみると、職業選択の自由度が比較的大きい社会だと言えるでしょう。ですので、理屈の上で考えると、より多くの人がより多くの満足した仕事に就いているということになるのでしょうが、実際にはあまりそのようになっているとは感じません。

それには大きくふたつの理由があると考えています。

ひとつには、世の中には人気の職業というものがあって、そういった業界には多くの人が憧れを持ち、買手市場になりやすいということ。
そしてもうひとつは、「夢を持とう」という近代的なスローガンのもと、多くの人が自分探しを続けていること。

やりたいことが見つかり、それが仕事になるのが一番なのは言うまでもありません。しかし闇雲に手に入らないものを求め続け、「本当の自分」を探し続けても、ただただ時間を消費するばかりです。
ですので、迷ったのであればいっそのこと、やりたいことを仕事にしようとするのではなく、いろいろやってみて適性がありそうなことを仕事にしてみるのがいいのではないかと考えています。

人は思うほど自分のニーズを知らないものです。
自由を否定する気は毛頭ありませんが、自由に仕事が選べれば皆が幸せになれるなどというのは絵空事です。むしろ情報に溺れ、流され、自分を見失うこともあるのが人間です。
そうであれば、自分に向いていることを仕事にし、そのことに打ち込んでみるというのは、自分探しのひとつの方法ではないかと思うのです。
「好きこそものの上手なれ」、と言いますが、「得意なことは好きになる」も同時に真理です。

弊社の従業員はまだ8名足らずですが、それぞれの従業員が、得意なことをやれることと、苦手な事をやらなくて済むことにこだわっています。自分も含め、個々人が日々の仕事を楽しめることが最大のパフォーマンスを上げる近道であるでしょうし、ビジネスに人を合わせるだけでなく、ときとして人に合わせたビジネスをつくっていくのも大切な経営戦略だと考えています。

変化を楽しむというリスクヘッジ

「やってみたいことがあればやってみればよい」などと言っても、多くの場合それによって何かを失うリスクというものがあります。
それについてはもう腹を括るしかないでしょう。
ただし、転職など、特定の変化を選択するという状況化において、一般的にあまり考慮されないなと思うのは、留まることにも一定のリスクがあるということです。
私の場合であれば、フリーランスであり続けることにリスクを感じ、リスクヘッジを見込んで起業しました。

では組織の一員であったときはどうでしょうか。

大企業であれば社内留保も多いので10年は潰れないかもしれません。しかし20年後はどうでしょうか。
公務員であれば、国や自治体が雇用主なので安定しています。しかしあまり考えたくはありませんが、将来にいざ何が起きるかは分かりません。

また、転職ほど大きな話でなくても、仕事の現場において、新しい手法や考え方に恐怖し、既存の古い手法に固執する保守的な態度というのは、しばしば見受けられます。しかし、自分のちっぽけな世界を守っていても、残念ながら世界は常に変化していますし、いつかは置いていかれてしまいます。私にとってみれば、保守的なスタンスをとることの方が、よっぽど高いリスクを冒しているように見えます。

「だから独立をすべきである」ということを言っているわけではありません。
重要なのは、どんな形で働いているにせよ、そこでの仕事を前向きに、そして常に変化に対応できるように取り組むことが、最大のリスクヘッジであるということです。

普段見えていないだけで、身の回りのものは常に変化を続けています。
しかし、変化を楽しみ、変化に対応することを楽しむスタンスさえあれば、仕事を常に変化させることができ、気持ちを若く保つことができます。

弊社のビジネスも、それほど急速にではありませんが、絶えず変化していますし、私も、変化に対応することを仕事として楽しんでいます。第一回のコラムを執筆させて頂いたときから考えても、さらに多くの変化を経験し、経営者として一皮か二皮くらいはむけたような気がします。

自分で創れる、自分で変えられる

―何のために仕事をしているか。

―何によって自分を鼓舞するのか。

会社経営の中で自分を見失いそうになったとき、いつもこのような疑問に立ち返らされます。
事業計画にくるいが生じれば、経営責任として給与がなくなることもあるため、自分と真正面から向き合わねば、とてもそのような苦しい場面を切り抜けることはできません。
私達が「社会的な価値を創出すること」に価値を見出したことは、第一回のコラムで述べさせて頂きました。

そしてさらに今、一歩進んで思っていることは、イノベーションを起こすのは自分達だということです。

多くのイノベーションが世の中を便利にしてきました。その発明は、誰かが行ったものです。
そしてまだまだ世の中には不便なことが沢山あります。であれば、その解決は自分達で行えばいい。

社会情勢を知り、それに対応するのは経営戦略として正しいことです。ただし、それが本来あるべき社会情勢でなければ、自分達が社会を変えていってもいい。

自分が社会を創っていくという意気込みや認識は、驚くほど普段の仕事を有意義なものにします。そして思うこと、信じることは全ての行動の第一歩です。
そう実感できて以来、私は「できない理由」を考えることを、あまりしなくなりました。

どうせ同じように仕事をするのであれば、自分の力で世界を変えていくという気概を持ってみるだけで、仕事はきっと大きく実りのあるものになるはずです。

生意気を認め、自分も生意気になる

IT関連の仕事をしているためか、近年、自分よりも若い年代の人達と話すことが楽しいと感じるようになりました。私の感覚ですと、5年世代が違うとITリテラシーに違いが感じられ、10年世代が違うと、ITリテラシーについて、相互理解が困難な程度のジェネレーションギャップが生じます。そしてもちろん、単純にITリテラシーという観点からは、より若い世代が優れています。

ITに関してのみならず、そのような若い世代の発想は常に大切にしていきたいと考えています。

彼らは若いがゆえの荒削りな点も非常に多く、程度の差こそあれ得てして生意気なものですが、自分の若いころを振り返ればその生意気さも許容できますし、許容できないとすれば自分が歳をとったことを疑うべきときだと考えています。(もちろんただ失礼な場合は注意しますが)

日本では「出る杭は打たれる」文化があるようですが、私はそれがあまり好きではありません。
時々刻々と変化する世界で、そのような文化を堅持していては、足を引っ張り合い、ただ業界の競争力や、国際競争力が低下するだけです。

そして同じような視点で上の世代を眺めてみると、面白いことに、自分よりも一世代も二世代も年配の方であっても、自分より若い感性を持っている方がいたりします。そういった方々とお話をするのは本当に刺激的で楽しい時間であり、私はそのような場面では、努めて「生意気」な意見を言わせてもらっています。それが、彼らに対する恩返しだと思っていますし、実際にそうした方が彼らからの受けが良いと感じています。

単なる零細企業である自分達の会社を、ベンチャー企業と自称することに長らく戸惑いを感じていました。
しかし、二年と半年の経営の中で、ようやく自分達が世界をリードしていく企業になるという使命と自負が生まれてきました。

今回のコラムでは、生意気であることを奨励するという逃げをうちつつ、全体として、好きなことを思う存分に書いて参りました。経営者としてはまだまだ若輩者のコラムを、最後までお読み頂き誠にありがとうございました。

読者の皆様とも、これを機に何らかのつながりができて、ともにビジョンを語り、世界を変えていくことができたらと願い、今回のコラムを締めさせて頂きます。

 

このエントリーをはてなブックマークに追加

このコラムは役に立ちましたか?

読み込み中 ... 読み込み中 ...
株式会社アクセライト
株式会社アクセライト
大下 知樹

独学でC、C++, Javaを学び開発経験をスタートさせ、ベンダー勤務、フリーランスを経て、2010年11月に株式会社アクセライトを創業。現在は同社の専務取締役を務める。