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消費税増税の今後の”行方”と経過措置の概要  ―企業が避けて通れない「消費税増税」対策講座 vol.001

あいわ税理士法人
マネージャー 税理士
佐々木 みちよ

先の衆院選では自民党が圧勝しました。そこで気になるのが、今後の消費税増税の行方です。

気になる消費税増税の行方

平成24年8月22日に公布された「社会保障の安定財源の確保等を図る税制の抜本的な改革を行うための消費税法の一部を改正する等の法律」(以下、「改正消費税法」といいます)では、消費税率を今後2段階で10%まで引き上げることとされました。

 消費税率の引き上げ
消費税率の引き上げ


改正消費税法には、税率引き上げに関する条項と同時に“条件付き停止措置条項”が盛り込まれています。「消費税率引き上げに係る改正規定の施行前に、経済成長率、物価動向等、種々の経済指標を確認し、経済状況を総合的に勘案した上で、施行の停止を含め所要の措置を講ずる」というものです。


そのため選挙期間中の安倍総裁からは、税率引き上げについて「来年4~6月の(景気動向に関する)数値をみて秋に判断する。何が何でも上げろということではない」といった発言が繰り返し聞かれました。しかし安倍総裁は、平成24年12月21日の自民党税制調査会の正副会長会議の場において、消費税率引き上げに関する民主、自民、公明各党による3党合意の推進を指示しています。これにより今後は、平成26年4月1日から予定されている消費税率引き上げに向けた環境整備に、議論の焦点が移行するものと思われます。

自民党税制調査会は、来年度予算編成スケジュールに合わせて平成25年1月下旬に税制改正大綱を取りまとめる方針です。連立政権を組む公明党は、消費税率引き上げに伴う低所得者対策として、食料品などの生活必需品に対する軽減税率の導入を目指すことをマニフェストに明記しているため、今後は軽減税率の導入時期や対象品目に関する議論が本格化するものと思われます。

経過措置の概要

そこで納税者にとって重要になってくるのは、数々設けられた「経過措置」です。

改正消費税法には、消費税率引き上げに際し、以下のように様々な経過措置について規定されています。

 

1.旅客運賃等に関する経過措置
施行日前に料金を領収し、施行日以後に乗車(搭乗)されるものには旧税率を適用

2.電気料金等(電気・ガス・水道等)に関する経過措置
施行日前から継続して供給・提供、施行日以後に検針等で権利確定するものについては旧税率を適用

3.請負工事等に関する経過措置
指定日(施行日の半年前の日)の前日までに契約締結、施行日以後に引き渡したものについては旧税率を適用

4.資産の貸付けに関する経過措置
指定日の前日までに契約締結、施行日前から施行日以後引き続き資産の貸付けが行われるもので、一定の要件を満たすものについては旧税率を適用

5.役務の提供に関する経過措置
指定日の前日までに契約締結、施行日以後に役務提供が行われるもので、一定の要件を満たすものについては旧税率を適用

6.長期割賦販売等に関する経過措置
施行日前に行った長期割賦販売等で、施行日以後に支払期日が到来するものについては旧税率を適用

7.長期大規模工事等に関する経過措置
指定日から施行日の前日までに締結した長期大規模工事等に係る契約に基づき、施行日以後に引渡しを行うものにつき、施行日前に工事進行基準を適用する部分については旧税率を適用

 

上記の通り経過措置の中には、「指定日(=施行日の半年前の日)」前に契約締結するか否かで引渡時の消費税率が異なるものがあります。税率引き上げの最終決定から「指定日」や「施行日」まであまり期間がない可能性が高いと思われるため、納税者には、税率改正に関する経過措置の事前理解と、税率引き上げ決定後の素早い対応が求められると言えるでしょう。

そこで、次回以降このコラムでは、消費税率改正に関する経過措置の具体的な内容について、納税者が事前にとるべき対応策とともに解説していきます。

 

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あいわ税理士法人
あいわ税理士法人
佐々木 みちよ

2002年藍和共同事務所(現あいわ税理士法人)入所。大手・中堅企業への組織再編に関するアドバイス業務や連結納税導入前後の税務コンサルティング業務に従事するほか、税務専門誌への寄稿や各種セミナー講師に従事。

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